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腐敗病

腐敗病に侵される主な野菜類は、キュウリ、ネギ、タマネギ、ラッキョ、ニンニク、レタス、チンゲンサイおよびニラ等がある。これらの中でラッキョとニンニクでは春腐病、キュウリでは縁枯細菌病と呼ばれる。また腐敗病と呼ばれるコンニャクやショウガの被害は病原細菌が異なり、腐敗を起こす病害として軟腐病があり、これも病原細菌が異なる。

発生の生態
病原菌
  • 病原は細菌でPseudomonas marginalis pv. marginalis (プシュウドモナス マージナリス パソバ マージナリス)と呼ばれる。
  • 病原力は同じように腐敗を起こす軟腐病菌に比べると一般に弱く、腐敗が進む速さも遅い。
  • 最適発育温度は20℃前後である。しかし、普通はこれよりも低い気象条件での発生が多い。
  • 比較的冷涼で12月から3月くらいの低温期での発生と被害が大きい。そのためラッキョやニンニクでは春腐病と呼ばれる
病徴
  • 被害を受けた野菜の種類によって病徴は異なる。
  • レタスでは下葉あるいは外囲葉の葉縁あるいは凍霜害や風害を受けた部分から褐変する。
  • 結球部は葉の表面の縁から暗緑色ないし緑褐色水浸状となる。
  • この病徴が進展して表面の2、3葉が全面にわたって暗緑色に腐敗、乾燥すると海苔を巻いたおにぎりのようになる。
  • 外観が健全に見えるような球でも内側の1、2葉が褐色に腐敗することがある。
  • チンゲンサイでは、株元の土面に接した外囲葉の葉柄基部が水浸状に軟化する。
  • 腐敗は次第に内部葉柄へと進行し、葉が萎凋して垂れ下がり枯死する。
  • ニラではトロケ症状を起こす。
  • 腐敗病は軟腐病のように悪臭を発散しない。これが大きな本病の特徴である。

生活様式
  • 本病原菌は土壌伝染する。
  • 罹病残渣などに加えて、キク科の雑草や他の宿主野菜からの伝染も考えられる。
  • 連作、降雨、多湿条件が好適発病条件である。
  • 冬季の凍霜害、風害 寒害などは発病を助長する。
  • 結球野菜類では、本葉6~8葉期までは耐寒性が強い。結球期以降は表面や老葉の外囲葉は糖度も低く、生理的に凍霜害をうけやすい。これが発病を誘引する。
防除のポイント
耕種的防除
  • 冬季の凍霜害が発生を助長するので、耐寒性の強い品種を使用する。
  • 老化苗の定植は避ける。
  • 施肥は基準量を守り多肥栽培はしない。
  • 防寒用のビニールトンネルは被霜時期を遅らせないように早期に行う。
  • 裾換気をこまめに行って昼夜の温度差を小さくする。
  • トンネルは出来る限り大型にして保温性に努める。
  • 多重被覆としてトンネル内にべた掛け専用不織布を行う。
薬剤的防除
  • レタス腐敗病:オリゼメート粒剤(プロベナゾール粒剤)、カスミンボルドー(カスガマイシン・銅水和剤)、コサイドボルドー(水酸化第二銅水和剤)、スターナ水和剤(オキソリニック酸水和剤)、Zボルドー(銅水和剤)、ドイツボルドーA(銅水和剤)、バリダシン液剤5(バリダマイシン液剤)
  • ニンニク春腐病:カスミンボルドー(カスガマイシン・銅水和剤)、コサイドボルドー(水酸化第二銅水和剤)、Zボルドー(銅水和剤)、バリダシン液剤5(バリダマイシン液剤)
  • タマネギ腐敗病:バリダシン液剤5(バリダマイシン液剤)
  • 銅剤およびその混合剤については薬害に注意して使用しましょう。
  • 細菌病である腐敗病は発病後の防除は難しいので、初期発生を見落とさず、予防散布を重点に対応しましょう。

データ作成2013/4/15

 

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