種苗事業部 栽培Q&A

インゲン

インゲンの品種と栽培方法について教えて下さい。

    • 1.品種
        • わい性種は一般的に促成・半促成、抑制栽培に使用され、他作物との輪作や間作として栽培されます。
        • つる性種はわい性種より莢の形質、食味が良く、長期多収栽培に適しハウス半促成、トンネル早熟栽培に使われます。
        • インゲンの生育適温は15~20℃で最低温度が10℃以下になると花芽や花 蕾が抑制され着莢が不良となります。
    • 2.品種の使い分けと作型
        • つるなし種では「成正」 があります。 「成正」は平莢で莢長16㎝、莢幅1.9㎝でスジがなく軟らかい草丈45㎝前後の早生種で栽培が容易な品種です。 高冷地3月上旬~8月上旬まき5月下旬~10月上旬どり、普通栽培3月下旬~5月下旬まき6~7月どり、8月上旬まき9月下旬~10月上旬どりに適します。
        • つる性種は「成平」があります。 「成平」は平莢で莢長16~18cm以上、莢幅1.4~1.5cmで食味良く草丈3m位になりますが、高温下で着莢良く多収穫になります。 冷涼地3月上旬~5月上旬まき、6月下旬~9月どり、中間地3月下旬~8月下旬まき、6月上旬~9・10月どりが出来ます。
    • 3.栽培上の注意と要点
        • 播種時期 つる性種は寒冷地の春蒔夏秋どり栽培では播種期が早い方が収量はあがります。 育苗期間中の保温と定植後も低温にあうのでやや硬めの育苗が望まれます。
        • 施肥 他の豆類に比べ多肥とします。特につる性種は生育期間が長いので10a当り標準で多成分20~26kgを施し、わい性種はこの3~4割減とします。窒素とカリは5~6割、残りは追肥しリン酸は全量をえ肥とします。
        • 栽植・ 密度 つる性種は90cm~1mのヘットに条間30~40cmの2条、株間40~45cm、わい性種は条間30cmの3条、株間40~43cmが標準です。

カブ

食味の良い小蕪の品種を教えて下さい。

当社の小蕪はいずれの品種も食味が良いのですが、その中でも「白馬」は肉質が特に軟らかく、糖度も高く、市場評価の高い品種です。食味以外でも球は白く形は腰高でよく揃います。また、葉枚数はやや多く、収穫時の結束作業は容易で、主産地において人気の高い品種です。
栽培のポイント
    • 1: 播種期は2月~9月蒔き(中間地)。
    • 2:地上部がややおう盛となるので施肥量(特に窒素)は控え気味とする。
    • 3:栽植密度は秋蒔露地栽培、春蒔トンネル栽培12cm×12cm、春蒔露地栽培で15cm×12cm、夏蒔露地栽培15cm×15cmを基準とする。

5月~6月蒔小蕪を栽培するにはどんな品種を使い、また、栽培上の注意すべき点について教えて下さい。

この時期は高温多湿な気候ですが、当社の品種では「玉里」、「碧寿」、「ゆりかもめ」が適しています。 「玉里」は、肥料にかなり敏感な品種で、葉の徒長を抑えることと、茎葉を丈夫に作るには株間を広めにとり、有機質を主体とした土作りが必要です。 「碧寿」は、根こぶ病抵抗性の品種ですが、特に窒素肥料の多い時は肩割れ、葉の徒長、球の変形が発生するので、1~2割程度減肥して栽培することによりバランスの良いものを作ることが出来ます。 「ゆりかもめ」は、根こぶ病抵抗性の品種であり、弊社が取り扱う夏用品種の中では肥料に鈍感な品種なので、非常に肥沃な土地や残肥がどの程度あるか分からない土地でも比較的安心して使用して頂けます。一方で、元々大人しい品種ですので、「碧寿」や「玉里」とは逆に、減肥しすぎないように注意することが必要です。

大風が吹いたら葉が少し横になり、軸が曲がった様になってしまったが、予防対策があったらおしえて下さい。

蕪はもともと風に弱い作物で、生育初期に強風が吹くと球が変形して外皮が傷つき、生育中~後期では倒伏します。決め手となる対策はありませんが、風に強い品種(大蕪は風に強い、中蕪では当社の白盃が直根部太く、球が吸込型で強い)を選定して、生育初期~中期までは寒冷紗を被覆してやると良いでしょう。

春に作れる品種は、ありますか?

中蕪、大蕪は高温期に栽培すると茎葉の発育が悪く、球の肥大も遅れます。また軟腐病、萎縮病が多発するので、中、大蕪の春蒔き栽培は収穫が安定しません。 大蕪は栽培期間が長いので春蒔き栽培は出来ませんが、中蕪は栽培が可能です。中蕪を春蒔きする場合、関東平坦地基準で3月上旬~中旬蒔き、4月下旬~5月中旬収穫が可能です。3月下旬に播種する場合は、収穫時期の気象条件(気温、降雨)に左右され収穫が安定しません。また播種限界は4月上旬かと思います。 品種は3月中旬以前の播種では、どの品種も適応しますが、3月下旬以降の播種では「CR白雪」、「百万石青首蕪」が適応します。 栽培のポイントは施肥量を抑え、球径10cmのやや小球で収穫することです。

紅蕪の品種と栽培方法について教えて下さい

紅蕪は大別すると青茎種、赤茎種に分けられます。 加工用途により品種が分類されており、青茎種は浅漬用に、赤茎種は浅漬用と甘酢漬けに用いられています。 栽培品種は「愛真紅1号」(青茎種)、「愛真紅3号」(赤茎種)の2種類があります。
栽培のポイント
栽培方法
    • a)施肥
        • 秋蒔の8月上旬~9月中旬蒔では葉が伸びるので作りすぎないように窒素分を控えめにし7kgを標準として肥沃な畑はこれより少なめとします。リン酸10kg、カリ7kgを目安において下さい。
    • b)栽植密度
        • 畦間70cm、株間25cm位の2条千鳥蒔が標準です。
    • c)播種・間引
        • 播種は発芽を均一にすることが第1条件で、水分のある時に1ヵ所に3粒蒔にし、本葉4~5枚時に間引き1本立にして下さい。
    • d)栽培管理 ・病害虫防除
        • 子葉展開時から間引きの後の初期成育を順調にして病害防除を定期的にして下さい。
        • コナガ、キスジノミハムシには、播種時にフォース粒剤を土壌混和して下さい。
        • アブラムシ、カブラハバチ、ヨトウムシにはエルサン水和剤40、DDVPが効果があります。
        • トンネル栽培では生育初期の保温と水分管理に注意して乾燥と寒さにあわせないようにし、換気は葉の生育に気をつけ徒長させないように温度管理をして、トンネル内を25℃位 に保つことがバランスの良い紅蕪を作るコツになります。
        • 冷涼地の初夏蒔栽培、5~6月蒔でも施肥に気をつけ、窒素4~5kg、リン酸8kg、カリ8kgを標準にして葉を作りすぎないようにすることが大切です。
        • 地上部がややおう盛となるので施肥量(特に窒素)は控え気味とする。

毎年、小蕪の10月~12月蒔栽培を行っていますが、昨年は球がとがり ました。原因を教えて下さい。

小蕪の年内蒔栽培は、栽培期間が長く高度な栽培技術を要する作型です。この作型では、球の変形、裂根、とがりが発生しやすく問題となっています。ご質問の球のとがりの原因は生育初期の乾燥と思われます。この作型は施設栽培となるので播種前の潅水を怠ると、生育初期から乾燥して球がとがりやすくなります。施肥、耕起前、施設内に充分潅水すると良いでしょう。また生育中期~後期に施設内温度を高くすると、地上部が繁茂して球の肥大が悪くなり、とがりやすくなります。温度管理のポイントは、生育初期(本葉7~8葉期まで)は高温管理(25℃~30℃)、生育中期は中温管理(20℃)、生育後期は低温管理(15℃前後)としてやると良いでしょう。また球の肥大期には通路潅水を2回程度おこない、球の肥大をスムーズに行うと、球の変形を防止できます。

チンゲンサイ

「夏賞味」ちんげん菜は夏しか栽培できないのですか?

6月から10月まで播種できます。(関東標準)「夏賞味」ちんげん菜は耐暑性に優れているので、夏の栽培も可能になりましたが、本来ちんげん菜は、冷涼な気候を好む野菜ですので、暑さや乾燥といった過酷な気候条件から解放される9月から10月蒔きでは、葉柄が太くボリュームのあるすばらしい形状になります。ただし、抽苔は早い性質を持っていますので、早蒔きには注意して下さい。

ちんげん菜の栽培で今の時期は、どんな点に注意したらいいでしょうか?

5月はまだ寒い日がありますので、抽苔の心配があります。 抽苔の早い夏賞味は露地蒔きでは6月以降に蒔くようにして、5月は晩抽の福賞味が良いでしょう。 暖地や温床育苗などでは、5月下旬から蒔けますが、年によって気候は違いますから、注意が必要です。 また、若苗を定植するよう心がけて、抽苔の引き金となる肥切れや、老化した苗にならないように気をつけて下さい。 定植後も活着をスムーズにさせるため乾燥させないようにしましょう。また、直播も抽苔の回避になります。 梅雨に入り雨が多くなると軟腐病などが出やすくなりますから、あまり大きくせず、早めに収穫します。水分が多い場所ではやや高うねとして排水を良くします。

チンゲンサイのおすすめ品種を教えてください。

粋醐味」と「冬大賞」をご紹介したいと思います。 「粋醐味」は株張りが良く、生育旺盛な春用品種です。チンゲンサイの春の栽培で問題になることの一つに抽苔がありますが、「粋醐味」は夏用品種に比べてやや抽苔が遅く、関東標準の3~5月蒔きの栽培でその品種特性を発揮します。また、「冬大賞」は「粋醐味」よりもさらに晩抽性品種のため、低温期の栽培に適しています。また、葉色が濃く尻張りが良いという特徴もあり、出荷時の荷姿の良さでもアピールできます。

ダイコン

大根の秋蒔栽培の播種時期と施肥量について教えて下さい。

播種時期は、8月下旬~9月中旬です。8月下旬蒔きの場合、こぶ症やウイルスなどが問題となるので、シルバーマルチや寒冷紗で防除して下さい。施肥量は、10a当り成分量で窒素7~10kg、リン酸10~15kg、カリ7~10kgを標準とし、8月下旬蒔きの場合は、窒素肥料を3割ほど減らして、地上部が過繁茂にならないように注意して下さい。地上部が過繁茂になると根部の曲がりや軟腐病、首部の汚れなどの原因となります。

夏蒔きできる大根の品種を教えて下さい。

夏蒔き大根の品種として「快進2号」 「秋だより」の2品種があります。
播種時期と収穫時期
    • 北海道、東北、冷涼地の6中旬~7月蒔き 8~9月収穫
    • 平坦地の8月中旬~9月上旬蒔き 10~11月収穫
栽培上の注意点
    • 栽培時期が高温期なので多肥栽培では、地上部の過繁茂による根部の曲がりや、病気の発生の原因となるので、元肥を少なくして追肥中心の肥料設計で栽培管理をして下さい。
    • 病害虫の発生の多い時期なので、生育初期から定期的な薬剤散布をして病害虫の防除に努め、播種後55~60日位で適期収穫して下さい。

ニラ

スーパーグリーンベルトを栽培していますが、年明け後現在2回目の収穫数日前で、例年より葉幅狭く品質が著しく悪いのですが、この原因は何でしょうか。

株養成不足が原因と思われます。昨年の秋 特に11月の気候は例年より降雨量が多く、季節はずれの『白斑葉枯病』『さび病』が発生していました。このため株養成が充分に行われなかったと思われます。また にらは低温を受けることにより、地下部を充実させますから、昨年のように年内の気温が高い年は根株の養成が悪くなります。 対策は、病害虫防除の徹底と年内にある程度の低温(霜を10回以上遭遇)を受けてから収穫するのがよろしいと思います。

ワンダーグリーンベルトを冬期間ハウスで栽培しています。2月頃になると葉先が白くなってしまうのですが、原因は何でしょうか?

ハウスの急激な換気管理が原因と思われます。2月頃になると外気温が上昇し始め、ハウスの換気量が増えますが、ハウス内の気温が上昇した際にあわてて換気を行うと、乾いた冷気がニラの葉に当たり、葉先の水分が奪われて白く枯れてしまいます。 対策としては、ハウス内が高温になる前に換気を始めて、温度、湿度が急激に変化しないように努めて下さい。また、ニラに直接冷気が当たらない様、ハウス内の内張りはサイド換気ではなく、天井換気を行うことが重要となります。

ネギ

カタログでは一本ネギと明記されているのに、収穫したら2本に分かれているネギがいくつかありました。どうしてでしょうか?

ネギが複数本に分かれることを分けつと言います。通常、一本ネギでは分けつが多く発生ことはありませんが、栽培環境等によって分けつの発生程度は変動します。その要因として以下の項目が上げられます。 ①栄養生長:分けつは基本的に栄養生長が盛んな条件で発生しやすいです。本圃での株間を広くとると、栄養生長は促進され分けつが発生しやすくなります。 ②育苗条件:ペーパーポットやセルトレイを利用した育苗では、定植までの育苗期間が短く影響は小さいですが、育苗期間の長い地床育苗では影響は比較的大きく、苗床への播種量が少ない場合、分けつが発生しやすくなります。 ③乾燥:直接的に分けつ芽の分化を誘導するのではなく、乾燥が栄養生長の促進に働いた場合、その結果として起こる間接的な作用により分けつが発生しやすくなります。 ④苗質、軟白程度:若苗は老化苗に比べて分けつが発生しやすく、浅植えや軽度の土寄せ条件において分けつが増える傾向が見られます。これらは栄養生長に適した条件であることが関係していると思われます。老化苗でも苗の大きさや老化の程度によっては若苗と同程度、あるいはそれ以上に分けつが発生する場合もあります。 ⑤温度、日長:ネギは品種によって、高温条件下で発生しやすくなります。また、長日条件で分けつが促進される品種もあります。

一本葱の育苗方法について教えて下さい。

最近、育苗管理の省力化が期待できるチェーンポット育苗やセルトレイ育苗が増えてきています。
育苗方法
    • チェーンポットは264穴。セルトレイは200穴のものを使用します。
    • ねぎ用培土→3リットル/枚
    • 種子量→約5.5~6.6万・ 粒/10a (コーティング種子を使用すると省力的)
    • 播種量→チェーンポットの場合 2.5粒 又は 2~3粒/穴、セルトレイの場合  3~5粒/穴
    • 発芽温度→15~25℃  2~3月蒔きではハウス、トンネル育苗が一般的です。
    • 育苗期間:2~3月播種 45~60日程度、 3月下旬~4月播種 45日程度 ※定植が遅れると根がからむので注意が必要です。
定植
    • チェーンポットの場合 株間 5cmに固定。
    • セルトレイの場合 株間 7.5~12cmで定植します。

ハクサイ

白菜の春栽培で抽苔を防ぐポイントを教えて下さい。

白菜は低温に遭遇すると花芽が分化し、その後高温・長日下で抽苔が始まり、結球出来なくなります。
育苗方法
    • ・結球に必要な結球葉60枚以上を育苗期で確保しなければなりません。目安としては、最低気温10℃以上、最高気温25℃の条件で本葉7~8頃まで育苗します。この時目には見えませんが、結球葉60枚以上確保されています。
    • ※育苗時期にべと病などの病害が発生しやすいので、予防をしっかり行いましょう。
    • ※徒長苗にならない様、温度管理及び潅水には注意しましょう。
定植
    • ・定植予定10日前までに施肥、3~5日前までにマルチ・トンネル張りを済ませ、地温を上げておくことが大切です。定植後は結球初期(本葉15枚又は芯葉が立ち上がる頃)までトンネルを密閉し30℃~35℃で管理し、初期生育の促進及び抽苔の抑制を図ります。その後は、トンネル内が20℃前後になるように換気を行います。
    • ※露地マルチ栽培の場合は、定植後から本葉10枚~15枚まで、不織布のベタ掛け栽培が効果的です。

南方系白菜はおいしいのですが、虫害が多くみられます。どうしたら良いでしょう?

南方系白菜が特別に虫害を受けやすい種類の白菜というわけではなく、高温期の栽培が害虫の発生の多い時期の栽培のため、虫害が多発したように感じられたのだと思われます。対策としては播種後の寒冷紗での密閉が効果的であると思われます。また、薬剤での防除の場合は白菜で登録されている薬剤を使用することが出来ます。
品種紹介
当社における南方系白菜の品種としては「夏一番」があります。「夏一番」は高温結球性、耐暑性に優れた品種で、播種後40日~45日で収穫できます。肉質も緻密で食味の良い品種です。ただし14℃以下の低温を受けると抽苔する恐れがあります。 球重は0.7~0.9kg程になり揃いも良好です。

コマツナ

コマツナにつく害虫とその対処法について教えてください。

コマツナには何種かの害虫が知られていて、代表的なものに、コナガ、ナモグリバエ、カブラハバチ、ハスモンヨトウなどがあります。どの種類も、幼虫が植物体を食害し、商品価値が著しく低下するため、十分な注意が必要です。特にこれから気温が上がってきますので、害虫の発生量も多くなってきます。コマツナには登録農薬が少ないので、耕種的防除を徹底することが大切です。露地では播種後、すぐに寒冷紗などでトンネルし、すそは土に埋め込み害虫の侵入を防ぎます。ハウスでは、サイドや入口などに寒冷紗等を用いて害虫の侵入を防ぎます。また、もし成虫(ガなど)が侵入してしまったら、捕殺することが効果的です。

夏に小松菜を栽培したいと思います。注意する点と何日ぐらいで収穫できるか教えて下さい。

高温期の栽培では、軟弱徒長と乾燥に注意します。 密植栽培では通気性が悪くなり蒸し込みやすいため、株が細く軟弱に育ちやすくなります。そうならないように、適正な条間・株間をとり風通しを良くして一株一株をガッチリと育てましょう。夏場の栽植距離は条間12~15㎝、株間5~7㎝程度を目安として下さい。 また、夏は特に乾燥しやすいので圃場の水分管理に気を付けましょう。極端な乾燥条件は小松菜の生育を遅らせるほか、葉にカッピングなどの生理障害を起こしやすく品質低下を招きます。特に初期生育時は最も大事な時期です。播種後は一斉発芽を促すため水分を切らさないよう管理しましょう。生育初期~中期にかけてはあまり乾かさないように適宜灌水を行い、圃場の適度な湿度を保ちます。その後生育後期~収穫直前にかけてはなるべく灌水を控え、鮮度保持を図りましょう。 盛夏期のハウス栽培の場合、可能ならば日中は遮光資材等を天井被覆し、気温の上昇と乾燥を予防するというのも一つの手です。 収穫までに要する日数は栽培条件や使用する品種にもよりますが、夏はだいたい播種後22~28日くらいでしょう。 当社の小松菜「里きらり」は生育がじっくりしていて在圃性の高い品種なので、収穫まで28~30日程度かかりますが、その分ガッチリと株が張ります。

小松菜を周年栽培したいと思います。品種の使い分けを教えて下さい。

小松菜の年間の品種構成は、3月末と9月末を切り替え時期の目安として考えます。高温期は夏用品種を、低温期は冬用品種を、それ以外の時期は春・秋用品種を使用するのが一般的です。 当社の品種を生育スピードでタイプ分けすると、「里きらり」は夏用、「冬里」は冬用、「里しずく」「里ごころ」は春・秋用の3タイプに分けることができます。各品種の細かな特性は、品種紹介のページを参考にして下さい。
<春~秋まき栽培>
高温期でも株張りが良く在圃性の高い「里きらり」が最も適しています。特に5月~9月が播種適期となります。早春や晩秋では株が太くなりすぎる傾向があるので播種時期に注意して下さい。 3月~4月頃の播種は「里しずく」や「里ごころ」が良いでしょう。ボリュームの出る品種なので収量が上がります。
<秋~春まき栽培>
秋口の播種ならボリュームがあり作業性の良い「里ごころ」が適しています。 暮れ出し、年明け出しを目指した作型など厳冬期の栽培では、低温伸長性が抜群の「冬里」が最も適しています。 2月頃の播種では、収穫時期に気温が高くなるため収穫期間が短くなる可能性があります。収穫時の労力を考え適正な品種選択、計画的な播種をするよう心がけましょう。

トマト

高品質のトマトを作りたいのですが、どのような栽培をしたらよいですか

回高品質、高糖度のトマトを生産するには、潅水を抑えた低水分管理が基本となりますが、低水分管理による高糖度トマトの栽培では、果実が小さくなり、収量が低下するという問題が生じます。 逆に、多収を目的とする従来の水管理による栽培では、大玉にはなりますが、糖度が上がらず、空洞果や乱形果の発生が多くなります。 実際の栽培では、経済性を考慮することが必要であり、ある程度の品質と収量を追求する栽培方法が一般的です
コース 土壌水分管理 糖度 収量 大きさ
多収 活着~第3花房開花→若干少なめ 第3花房開花以降→多めの管理 4~6 多収 L玉
中収・高品質 初期→少なめ 第3花房開花以降→普通管理 6~8 標準 M・S玉
高糖度 全期間→少なめの管理 8~ 少ない S・2S玉
栽培のポイント
    • 1:第3花房開花までの生育の初期に少なめの水管理をし、その後、普通の水管理に戻すことが基本となります。
    • 2:高温期の育苗時に乾湿差が多いと、チャック果、窓あき果、尻ぐされ果の発生が多くなるので注意して下さい。
    • 3:第3花房開花期以降も極端な低水分管理を行うと、第1、2果房の果実の肥大が悪くなり、さらに、上位段の花数、着果数も減少するため収量低下につながります。 この時期、逆に、多湿管理になると霜ふり果の発生が増えるので注意して下さい。

トマト栽培初心者でも、安心して栽培できる品種は何が良いですか?

アニモTY-12」が、お勧めです。
    • 1.栽培管理が容易! 「アニモTY-12」は、やや草勢はおとなしく肥料に鈍感な品種ですので、追肥のタイミングに迷った時は、追肥しても大丈夫な品種です。
    • 2.裂果に強く棚持ちが良い! 裂果が少なくまた、果実が硬い品種ですので、樹熟させることが可能です。樹熟させると糖度や食味が向上します。

ミニトマトの異常茎(メガネ)を防ぐにはどうしたらよいですか?

ミニトマトは、大玉トマトに比べ吸肥力が強い品種が多いです。特に定植後に発生することが多く、定植圃場に肥料が過剰になっている、定植後の降雨により肥料を過剰に吸収してしまうことが原因として多いです。
対策としては、、、
    • 1.異常茎の出にくい品種を選ぶ。
    • 2.土壌診断をして適正な施肥を行う。
    • 3.脇芽を残し、大きくしてから脇芽取りを行う。
    • 4.リン・カリ・ホウ素の入っている葉面散布資材を使用する。
    • 5.下葉を少し取り除く。
異常茎が発生してしまったときは、、、
主枝での栽培をやめて脇芽に更新して栽培を行う、その場合草勢が弱くなる恐れがありますので、追肥を行ってください。

ホウレンソウ

ほうれん草を春蒔きしたところ、抽苔してしまいました。どうしてでしょうか?また、ほうれん草を春蒔きするうえで、注意するところは何でしょうか?

ほうれん草の春栽培で、最も気を付けることが抽苔です。ほうれん草は長日下で抽苔するという特性をもっていますから、その時期にあった晩抽性品種を利用して下さい。
栽培のポイント
    • 1:第4月中下→やや晩抽性品種
    • 2:5月上旬~→晩抽性品種
    • 3:3月中旬からの播種では、収穫期が生育適温となり、急激に草丈が伸びることがあり、収穫適期が短くなるので注意して下さい。
    • 4:あらかじめ出荷計画をたて、無理のない栽培体系をとるようにして下さい。またこの時期は病害虫の発生が多くなりますので、予防と初期防除に心掛けて下さい。
    • 5:4月中下旬(関東平坦地)蒔きでは、品種選びが重要です。もし間違った品種を栽培すると、収穫間際になっての節間伸長や出蕾等、抽苔初期の状態なり、品質低下につながります。
    • 6:また5月になりますと、非常に抽苔しやすい時期ですので西洋種または それと同じ位の抽苔性を持った品種を利用して下さい。

エダマメ

家庭菜園で枝豆を栽培する上で注意点について教えて下さい。

枝豆には夏ダイズ型、中間型、秋ダイズ型があり、大部分の品種は夏ダイズ型で、長日条件で開花結実するが、秋ダイズ、中間型に属するものは短日条件でないと開花結実しないものがあるので、収穫時期から換算した播種時期と品種選びに注意が必要である。
栽培のポイント
    • 1:枝豆の種子は当年産以外は発芽が著しく劣るので、信用ある専門店で新しい種子を購入する。その場合、早生品種の種子消毒されている種子はその後の農薬の使用を軽減できるので有利である。
    • 2:ハウス、トンネル、露地栽培でも肥料が多いと徒長して莢付きが悪くなるので、前作の残量などを考えて窒素過多にならないよう、特に直まきの場合は注意が必要である。
    • 3:初めて枝豆を栽培する畑では、根粒菌(種苗店などで手に入る)をまぶしてから播種すると、根への根粒菌の活着がスムーズで多収が期待できる。
    • 4:中晩生以降の錦秋や「晩酌茶豆」を播種する場合早蒔きをしないこと、移植や土寄せなど木を倒さない工夫をすることがポイントとなる。
    • 5:なるべく農薬の使用を控える上で、花が咲いてから1週間おきに3回、殺虫剤を散布する方法で莢の中に入りこむ虫を防除することが出来る。
    • 6:豆をパンパンになるまで置かずに8割程度のふくらみで収穫し、また、収穫適期は3~4日程度と短いため、穫り遅れに注意する。収穫後はなるべく早く食べる事が美味しい枝豆を食べるコツである。
品種の選び方
極早生、早生、中生、中晩生と収穫期の早晩により分けられているが、早生系は3~5月、中生系は4~5月、中晩生系は5月中旬以降の播種に使用する。早晩の異なる品種を蒔くことで、長期間、新鮮な枝豆を収穫できる。
美味しい枝豆ラインナップ(関東標準)
極早生 :「ジャスト75」(75日) 早 生 :「北海白毛」(82日) 中早生 :「三芳錦」(85日)、「あづま錦」(85日)、「盆錦」(85日) 中晩生 :「錦秋」(100日) ダダチャ豆系:「晩酌茶豆」(95日)

コネギ

コネギの葉先枯れ症を防ぐには、どのようにすればいいのですか?

葉先枯れ症は牛糞堆肥などの過剰施用により塩類が過剰に集積するため、土壌の粗孔隙が多くなるとともに根が水分ストレスを急激に受けやすくなり発生することが知られています。 また、土壌pHが低く、ネギ体内のカルシウム含量が低下した場合にも引き起こされるという報告もありますが、カルシウムの葉面散布によっても、発生を防止できない圃場も多いようです。 葉先枯れ症の発生防止対策として、灌水管理による防止方法が上げられます。生育後期に極端に灌水制限を行うと葉先枯れ症が著しく増加します。コネギの栽培では葉の色を濃くする、内容成分を高める等、品質向上させるために生育後半に灌水制限が行われていますが、夏期の高温時には根量が減少するとともに、水分供給が急激に減少するとともに葉身からの蒸散量が増加するため、水分供給量が間に合わず、葉先枯れ症が生じると考えられます。このことから、夏期には生育後半の灌水制限はあまり行わず、少量多灌水の水管理が必要と考えられます。 雨よけハウスを利用したコネギ栽培で安定した周年生産をするためには灌水管理の他に、作型に対する品種選定とともに良質、有機質資材の適正施用と土壌改良、施肥改善も重要です。

シュンギク

しゅんぎくの春蒔き栽培を行いたいのですが、栽培上のポイントを教えて下さい。

しゅんぎくは低めの温度を好み、生育の適温の10℃~30℃位までが良い収穫物を得られます。 ここでは3月中旬~5月中旬蒔きのパイプハウスの栽培を春蒔き栽培として説明します。
栽培のポイント
    • 1:発芽適温は15~20℃で35℃以上での高温になると発芽が悪くなりますが、春蒔きでは問題になることはありません。
    • 2:好光性種子のため覆土は薄くします。
    • 3:また、発芽するまでの乾燥を防ぐため寒冷紗などをベタがけにして発芽したら取り外します。
    • 4:90~120cmベッドに条間18~20cmにすじ蒔きにし、株間2cm位になるように随時間引きを行います。
    • 5:生育中は潅水をやや多めにして収穫前に少なめにします。
    • 6:生育日数は30~35日で、15~18cm位で抜き取り、根付きのまま結束またはポリ袋で出荷します。
    • 7:多湿の管理では気温が15~20℃になるとベト病が発生しますので充分に換気して乾燥するように心がけます。
    • 8:また、芯枯症の防止のために播種後20~25日位の時に塩化カリウム(0.1~0.3%液)を葉面散布します。
    • 9:順次追い蒔きして短期間で収穫できるので、果菜類の後作や小松菜、チンゲン菜等を組み合わせると面白いでしょう。

キャベツ

秋どりできるキャベツを栽培してみたいのですが、お勧めの品種はありますか?

キャベツは基本的に冷涼な気候を好みますが、温度に対する適応範囲が大きく、日本全国北から南の広い地域で栽培されています。タネの発芽適温は10~30℃と広く、最適発芽温度は20~25℃、生育適温は15~20℃となっています。 関東平坦地において、夏まき秋どり栽培はキャベツにとって作りやすい時期になります。夏の高温乾燥期にタネまきを行い年内に収穫する栽培で、苗の定植後はだんだん気温も涼しくなり、キャベツの生育適温となるので比較的栽培が容易な作型です。 品種としては、耐暑性があり早生性・肥大性に優れた「峰月」、球の締りが抜群に良く輸送性に優れ、裂球の遅い「快作」、中玉で締りが良くブルームの少ない「両関」の3品種があります。どの品種も球揃いが良く、特徴のある品種です。

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カリフラワー

カリフラワーを初めて栽培したいと思います。栽培方法と注意点を教えて下さい。

カリフラワーには定植後40日後で収穫となる超極早生種から、秋まき越冬栽培の春どりの長期間を要するものまで多種多様の品種があります。ここでは、夏まき秋収穫の作型について説明します。 関東平坦地における播種適期は7月上旬~下旬となります。育苗方法には地床育苗、セルトレイ育苗がありますが、近年はセルトレイ育苗が主流となっています。ここではセルトレイ育苗について説明します。 セルトレイ育苗の場合、培土は市販の培土を利用します。セルトレイのサイズは様々ですが、できるだけ大きなトレイ(50穴または72穴)を利用した方が乾燥や過湿などの不良条件でも活着しやすいのでお勧めです。 定植は播種後30日、本葉5枚前後に行ないます。カリフラワーは乾燥には強い作物ですが、過湿に弱い作物なので、日当たりが良く、排水の良い土壌病害のない圃場を選定して下さい。平畝定植では、定植直後に台風や大雨で圃場が冠水した場合は根痛みしやすいので、15~20cm程度の高畝にした方が過湿による生育不良を避けることができます。条間60~70cm、株間45~50cmとして定植して下さい。 定植後は盛夏となり乾燥しやすいので、活着するまでは数回ほどの灌水をして下さい。 害虫は定植直後のダイコンシンクイムシ、定植後から収穫するまでの間はヨトウムシ、アオムシなどの幼虫による被害が甚大なので、発生初期のうちに防除します。 収穫前、花董がコブシ大の頃に葉を折り、花蓄を遮光して白く仕上げます。 品種は関東平坦地の9~10月どり品種として「パールホワイト」「ホワイトパラソル」、10~11月どり品種として「雪まつり」があります。カリフラワーは収穫期の温度により品質低下(異常花董:花蓄の毛羽立ち)することがありますので、播種期、収穫期をずらして栽培地の気候にあった作型を見つける必要があります。

ミニトマト

ミニトマトの裂果を防ぐにはどうしたらよいですか?

ミニトマトは完熟状態で収穫するため裂果の多発は収量の低下につながり、その防止は栽培上重要となります。ミニトマトの裂果の発生は品種間差が大きいため、まず、栽培するにあたっては裂果の少ない品種の選定が必要です。 裂果は果実の表面が内部の肥大しようとする圧力に耐えられなくなって生じるため水管理が重要になってきます。そのため土壌水分の急激な変化を避け、少量多回数潅水を行ってください。そして、急激な土壌水に対応できるよう根を深く張らせる栽培を行ってください。また、劣果の発生が高くなるので収穫予定日の前日に雨が予想される場合は収穫を早めることも有効です。