種苗事業部 病害データベース 病害データ 種苗事業部 病害データベース 病害レポート

病害データ

病害レポート

ネギ軟腐病

発生の生態
発生の原因
  • ネギ軟腐病はPectobacterium carotovorum(ペクトバクテリウム カロトボラム)という細菌が病原で起こります。
  • 本菌はネギのほかにもハクサイ、ダイコン、キャベツなどアブラナ科、ジャガイモ、ナスなどナス科、ニラなどユリ科の野菜類をはじめとして100種以上の植物を侵します。
病徴
  • 軟腐病は育苗中のネギにはほとんど発生しません。
  • 5月~10月頃、主に収穫期に近づいた成株に発生が多くなります。
  • 地際部に発生した場合には、葉身の展開部に水浸状の病斑を生じます。
  • やがて内部が腐敗し、外葉から次々と軟化、腐敗して枯死します。
  • 地下部に発生した場合、茎盤基部の一部がやや褐変し、地上部は生育不良となります。
  • このような株の茎盤を切断すると、褐変部から内部に向かって腐敗しています。
  • 腐敗部はいずれも軟腐病特有の悪臭を発散します。

伝染方法
  • 軟腐病は土壌伝染します。
  • 土壌中の病原菌はネギが栽培されると根の周りや葉面上で増殖し、農作業や害虫などによってできた食害痕や傷口、また気孔部から侵入します。
  • 傷口などから侵入した軟腐病菌は侵した野菜の細胞内で増殖し、潅水や降雨などによって病斑部から周囲に飛散し次々と伝染・蔓延します。
  • 腐敗が進行し、枯死したあとは軟腐病菌の密度は低下し、次にネギなどが栽培されるまで雑草の根の周り(根圏)や被害残渣で生存します。
  • 細菌に汚染されている畑では、その土壌が葉面や下葉、古葉の葉柄部に跳ね上げられ傷口や気孔から細菌は侵入し発病に結びつきます。
発生条件
  • 軟腐病は夏期の長雨、台風などによる集中豪雨や雨を伴う強風、平年より気温が高い初秋の長雨などの場合に多発します。
  • 低湿地や基盤が整備されていない水田転換畑などでは土壌が多湿になり、滞水しやすいため激発します。
  • ネギは葉身にワックスが多いので軟腐病菌は侵入しにくいのですが、強風雨などで傷ついた場合には多発します。
  • 根腐萎凋病や萎凋病に侵されたネギは軟腐病の発生が助長されます。
防除のポイント
耕種的防除
  • 感染してからは防除ができないので、予防に努めてください。
  • 軟腐病は土壌伝染するので土壌消毒をしてください。
  • 畑が多湿になったり、冠水した場合は根腐れを生じて多発するので排水に努めましょう。
  • 汚染畑での連作は病原菌密度を高くし、発病を助長するので非宿主植物との輪作を行ってください。
  • 窒素質肥料を多用すると、生育が軟弱になり発病を助長するため、適正な施肥を行って健全な生育に努めましょう。
  • 発病株は見つけたら周辺の健全株も含めて抜き取り、圃場外へ持ち出し圃場衛生に努めましょう。
薬剤的防除
  • 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。

このページに掲載のイラスト・写真・文章の無断の転載を禁じます。
全ての著作権は株式会社武蔵野種苗園に帰属します。

MENU