種苗事業部 病害データベース 病害データ 種苗事業部 病害データベース 病害レポート

病害データ

病害レポート

トマトかいよう病

発生の生態
発生の原因
  • トマトかいよう病菌は細菌(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis:クラビバクター・ミシガネンシス・亜種・ミシガネンシス)によって起こる病気です。
  • 野菜ではトマトだけに病気を起こします。
  • 太平洋戦争後日本に侵入した、トマトにとっては脅威的な伝染性の細菌病です。
病徴
  • 本病に侵されたトマトでは茎葉の萎凋が見られたり、茎、小葉、葉柄、がく、果 梗、果実など各部に斑点が現れます。
  • 茎葉の萎凋症状は、はじめ下葉や葉柄からみられます。
  • 萎凋した葉は、葉縁から乾燥して上方に巻き上がり、やがて葉全体が褐変して枯死しますが、脱落せずに茎についたまま垂れ下がります。
  • このような症状が見られる株の茎の維菅束は淡褐色に変色しています。また症状がひどくなると柔組織も淡褐色に変色して崩壊し、空洞となります。
  • 茎や葉柄の表皮にやや隆起した褐色でコルク状(かいよう症状)の小斑点を形成し、病徴が進むと茎が縦に裂けることがあります。
  • 小葉の葉縁に黒褐色~暗褐色不整形の小病斑を形成することもあります。
  • この病斑は次第に5~10mm前後の不整形の大型病斑となり、ひどくなると融合して小葉の葉縁を取り囲むようになります。やがて小葉は黒褐色に変色し下葉から枯れあがります。
  • 葉柄、がく、果梗に現れる斑点は1~2mm前後で表面がややざらざらとした褐色~暗褐色となり、果実に現れる斑点は2~3mm前後で周辺が白色、中心部がやや盛り上がってざらざらとした褐色となり、それはあたかも「鳥の目」のように見えます。

伝染方法
  • かいよう病は種子伝染および土壌伝染します。
  • 本病原菌に汚染された種子をは種すると、病原細菌は幼茎や子葉の表面などで増殖し、子葉などの自然開口部や傷口から侵入します。
  • 土壌中に病原菌が存在した場合には、根の伸長に伴って根圏で増殖し傷口から侵入します。
  • こうして感染した株は第二次伝染源となり、病原細菌は降雨や風などで隣接株に飛散し、傷口、水孔や摘芽などの人為的な付傷部から侵入して伝染します。
  • 本病の発生した圃場で使用した支柱や被害残渣も感染源となります。
発生条件
  • 本病は梅雨期に降雨日が多く、25~30℃で多発します。
  • 盛夏期には一時病勢は停滞します。
防除のポイント
耕種的防除
  • 降雨により本病の伝染が助長されるので雨よけ栽培をおこないましょう。
  • 連作を避けましょう。
  • 種子は無病種子か消毒済種子を用いましょう。
  • 発病株は見つけ次第抜き取り、圃場外に持ち出して焼却などの処分をして、圃場衛生に努めましょう。
  • 芽かきなど管理作業はできるだけ晴天日に行い、刃物や手指による伝染を防止するためエタノールなどで消毒しましょう。
薬剤的防除
  • 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。

このページに掲載のイラスト・写真・文章の無断の転載を禁じます。
全ての著作権は株式会社武蔵野種苗園に帰属します。

MENU