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ダイコン根腐病

発生の生態
発生の原因
  • この病気を起こす病原はRhizoctonia solaniリゾクトニア・ソラニー)というかびの一種です。
  • このかびはダイコンだけでなく、多くの野菜類、さらに普通作物、花き、牧草、材木なども侵す多犯性のかびです。
  • 野菜類では苗立枯病で代表されます。
  • リゾクトニア属菌には、地上型、地表型、地下型という菌の系統があります。根腐病に関連するリゾクトニア属菌は地表型と地下型です。
病徴
  • 本病は主に根に発生しますが、ときに葉にも発生します。
  • 根部の表面が褐色~黒褐色に変色しますが、その病斑の形や大きさは様々です。
  • 病斑は、中央部分が陥没し亀裂が入ったもの、さめ肌状のもの、網目状のものなどもあります。
  • リゾクトニア属菌の地下型の系統(培養型Ⅳ)は、根部を侵して黒あざ、根腐れ症状を起こします。
  • 地表・地下型の系統は、地上型に比べて土壌中での菌糸生存、生育もよく、酸素不足がちな嫌気条件下でもよく繁殖します。

伝染方法
  • 病原菌は菌糸、厚膜化細胞、菌糸塊、菌核を作り、土壌中では後者三種の器官が耐久体として越冬、越年し伝染源の役割を果たします。
  • これらの器官は適当な水分と温度条件が与えられるとすぐに菌糸を伸ばし、根の分泌物に刺激されて繁殖します。
  • 野菜に被害を起こす系統としては、地表~地下型が多く、酸素不足の状態でも生育できるため、耕運機などで地中深く埋め込まれてもすばやく地上部に現れて、苗立枯れや株腐れを起こします。
  • この病気は土壌伝染で周辺株に伝搬します。
発生条件
  • アブラナ科系低温菌(培養型Ⅱ)は地温が18℃~22℃のときに発病力が強くなり、根腐病系=イグサ紋枯病系(培養型ⅢB)では地温が25~30℃のときに発病力が強くなります。
  • リゾクトニア属菌の生育温度範囲は15℃~30℃が一般的です。
  • 病原菌の生理的性質や土壌中の菌糸の生育量と発病との間には密接な関係があります。
  • 土壌pHは、微酸性で発病しやすく、酸性土壌では住みにくいようです。
  • リゾクトニア属菌は土壌水分がむしろ乾燥気味のとき活動しやすくなります。
  • 春~夏に青刈り作物を鋤き込むと、病原菌の生育はよくなり、土中の菌糸密度が高くなって被害を大きくします。
  • 主に露地栽培に発生します。
  • 根腐病菌の高温菌系統の生育適温は地温25~30℃付近で、比較的高温での発病が多くなります。
  • 降雨が続くような特に晩秋~初冬の季節、気温の低い春先にはアブラナ科野菜に病気を生じる低温菌による発生が問題となります。
  • 連作では圃場衛生に努めないと発病が助長されます。
防除のポイント
耕種的防除
  • 未分解有機物や青刈り植物のすき込みを行わないでください。
  • 堆肥は完熟堆肥を施用してください。
  • 湛水や田畑輪換は苗立枯れを起こす系統を減少させるので、極力実行してください。
  • 多発した圃場では連作を避けましょう。
  • トウモロコシやイネ科牧草などを組み入れた2~3年輪作は病原菌の密度減少に働きます。
  • 土寄せはリゾクトニア属菌による被害を多くするので、ゴボウ、ニンジン、ハクサイ、ダイコン、ホウレンソウではできる限り行わないで下さい。
  • 根腐病菌は新しい有機物から栄養をとって繁殖しますので、被害残渣を圃場に放置せずに、圃場外に搬出し、焼却処分しましょう。
薬剤的防除
  • 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。

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