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さび病

さび病菌で起こる病害は、和名でさび病、英名でRustと言い、糸状菌(かび)が原因で発生する空気及び水媒伝染性の病害である。
野菜類に発生する言葉上でのさび病には白さび病とさび病がある。それらの病原菌である白さび病菌は分類上さび病菌とは異なり、前者は属でAlbugoアルブゴ)属菌であり、後者はPucciniaプクシニア)属菌である。
さび病菌は絶対寄生菌で、生きた野菜の細胞に限って生活することができる、つまり人工培養ができない糸状菌である。
主な野菜類に発生するさび病菌には、ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ニンニク、ニラのさび病、アスパラガスさび病、レタスさび病、フキさび病、ミツバさび病、シソさび病などがある。特にネギ属のさび病は生産物に対して問題を起こすことが多い。

発生の生態
病原菌
  • 野菜類で代表的なネギ属(ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラ)のさび病菌について述べる。
  • 伝染源である病原菌として夏胞子と冬胞子を形成する。
  • 夏胞子は概ね球形で黄褐色~橙黄色である。
  • 冬胞子は概ね倒卵形、淡褐色で普通2細胞である。
  • 発病環境が適した時期や条件下では夏胞子が盛んに形成されて周囲に伝染する。
  • 夏胞子の発芽は9~18℃で良好、24℃以上では不良である。
  • 感染から病徴出現までの潜伏期間は約10日間である。
  • さび病菌には、系統があり、ネギに寄生する菌はネギ、タマネギには寄生性が強く、ラッキョウに対しては弱い。
  • ラッキョウに寄生する菌はネギに対する病原性は弱い。
  • ネギに寄生するさび菌はニラを侵さず、ニラを侵す菌はネギを侵さない。
病徴
  • 病斑は紡錘形あるいは楕円形で橙黄色のやや隆起した小形の斑点を生じ、表皮が破れて鐙黄色粉状の夏胞子を飛散する。
  • 晩秋には橙黄色病斑に接して黒褐色の斑点(冬胞子層)を形成する。
  • 発病が激しい時に葉が汚白色に変色してやがて枯死する。

生活様式
  • 春季から秋季まで発生するが、夏季は一時終息する。
  • 普通は4、5月および9、10月頃に発生が多い。
  • 被害植物上で冬胞子や夏胞子の形で越年し、翌春夏胞子を飛散して伝染する。
  • 春季に多発し、夏季が低温多雨の場合には秋季の発生が助長される。
  • 密植栽培で風とおしが悪く、多湿環境下では発病と伝染が盛んに行われる。
防除のポイント
耕種的防除
  • 発病株や被害残渣の除去。
  • 無病で健全株の移植栽培。
  • 多湿環境の除去(密播、密植やビニールハウス、ガラス室での栽培、苗床での間引き、本畑での疎植、通風と採光を図り、排水を良くする)。
  • 発病周辺の栽培を避ける。
薬剤的防除
  • さび病に登録のある農薬には、アミスター20フロアブル(アゾキシストロビン水和剤)、シグナムWDG(ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤)、ジマンダイセン水和剤(マンゼブ水和剤)、ストロビーフロアブル(クレソキシムメチル水和剤)、トリフミン水和剤(トリフルミゾール水和剤)、ベルクート水和剤(イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤)、などがあります。対象作物に登録があるものを選んで、正しく予防散布しましょう。
  • 発病後の薬剤防除は極めて困難なので、発病初期を的確に捉えて早期防除に徹しましょう。
  • ネギ・タマネギなどは散布液が付きにくいので、必ず展着剤をやや多めに添加して葉が十分濡れる程度に丁寧に散布しましょう。
  • アミスター20フロアブルは浸透性を高める効果のある展着剤を混用すると薬害を生じる場合がありますので、展着剤混用に当たっては事前にその適否を確認しましょう。

データ作成2013/4/17

■ご注意■

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

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