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白さび病

野菜類に発生するさび病菌には単純な意味から言われるところのよく知られているネギ類に発生する所謂「さび病」と今回紹介する「白さび病」の2種類がある。ネギ類に発生するさび病は、病斑の標徴(病原菌の色)が橙色を示しているためさび病と命名されている。これに対して白さび病はその標徴が白色で明らかに病斑の色は異なっている。
さらに、さび病菌は、担子菌類・銹菌目・柄生銹菌科に所属しているが、白さび病菌は、真正菌類の中の鞭毛菌類・卵菌目の白さび菌科に所属され、さび病と白さび病は、病原菌の分類学的位置づけも異なった所属になっている。
白さび病は野菜類ではハクサイ、カリフラワー、カブ、ダイコン、コマツナなど多くのアブラナ科野菜類を侵すのでこれらの生産物の品質を損ねることがある問題の病害である。

発生の生態
病原菌

病原は糸状菌(かび)の仲間で、病原菌名はAlbugo macrosporaアルブゴ・マクロスポラ)、英名をWhite rustと言われる。
本菌は鞭毛菌類の一種で、分生子柄は無色、単胞、棍棒状で、その頂端に分生胞子を連鎖状に生ずる。
分生子は無色、単胞、やや球形であり、水分があれば5~8個の遊走子を放出する。また越冬器官として卵胞子もつくる。
本菌には数種の生態種が認められており、1.ダイコンだけを侵すもの 2.カブ、ハクサイ、コマツナ、タイサイ、キョウナ、などを侵すもの 3.ナタネ、カラシナ、キョウナ、ヨウシュウナタネを侵す3系統がある。

病徴
  • 根を除く全ての部分、すなわち葉、葉柄、茎、花などに発生する。
  • 葉でははじめ退色した部分が点在し、やがてそれが膨起した乳白色の不整形の病斑となる。
  • のちにその部分が破れて中から白色の粉状物(分生子)を出す。
  • 葉柄や茎に発病すると病斑部は肥大して湾曲する。
  • 花に発病すると花弁や雌しべは、落下しないで著しく肥大して葉化して奇形となる。
  • 肥大部組織中には古くなると多数の卵胞子が形成され次年度の第一次伝染源となる。

生活様式
  • 本病は全国至るところに分布し、暖地では、11月上旬~3月下旬にかけて発生する。
  • 絶対寄生菌で、生きた細胞だけに寄生し感染して白さび病を起こす。そのため老化した部分には感染しないか、感染しても胞子堆の形成が悪い。
  • 分生子は0~25℃の間で発芽し、発芽適温は10℃前後である。
  • 卵胞子、分生子共に水分があると容易に発芽して遊走子を生じ、これが水中を遊泳して移動し、気孔付近に定着して再び発芽し発芽管を出して気孔から侵入感染する。
  • 感染から病徴が現れる期間、すなわち潜伏期間は5~7日間である。
  • 卵胞子が被害植物について越冬しこれから遊走子をつくり伝染する。
  • 降雨の多い低温の年には発生が多い。
  • チッソ質肥料を多用したような肥培管理畑では発生と蔓延が助長され易い。
  • ダイコンを侵す系統はハクサイ、カブ、コマツナなどを侵す系統とは違うので、ダイコンからカブやコマツナ、カブやコマツナからダイコンへの伝染は行われない。
  • ダイコンの地上部葉に本病が多発するような気象条件下では、ダイコンの青首部にわっか症(白さび病菌が地上部に露出している青首部に感染したために発症する被害)が発生することが多い。
防除のポイント
  • 被害残渣は早期に取り除き焼却する。
  • 常発地ではアブラナ科野菜栽培を避けて輪作する。
  • 多湿環境の排除(密播、密植を避け苗床での間引き、本畑での疎植、通風と採光などを図り、排水を良好にする)に努める。
  • 畝上にはマルチを張る。
  • 株の上からの頭上潅水は絶対に行わない。
  • 白さび病に登録のある農薬には、ストロビーフロアブル(クレソキシムメチル水和剤)、ダコニール1000(TPN水和剤)、ホライズンドライフロアブル(シモキサニル・ファモキサドン水和剤)、ポリオキシンAL水溶剤(ポリオキシン水溶剤)、ライメイフロアブル(アミスルブロム水和剤)があります。
  • ダコニール1000の散布は、白さび病発生の予防だけでなく、わっか症の発生防止も兼ねることができます。

データ作成2013/4/18

■ご注意■

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

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