ホウレンソウべと病
発生の生態
発生の原因
- ホウレンソウべと病はかびが病原で起こる病気です。
- 病原菌名はPeronospora farinosa f.sp. spinaciae(ペロノスポラ・ファリノーサ・分化型・スピナシアエ)です。
病徴
- 春と秋の天候が不順な年に発生が多く見られます。
- はじめ、下葉の表面に健全部との境界がはっきりしない黄白色の小さな斑点ができます。
- 斑点は次第に拡大して淡黄色、又は淡紅色の不正円形の病斑となり、被害が進むと葉の大部分が淡黄色になります。また、このころになると病斑の裏側にネズミ色又は灰紫色でビロード状のかびが見られます。
- 激発すると葉の一部又は全部が黄白色になって枯れてしまいます。
伝染方法
- ホウレンソウべと病は主に菌糸の形で被害株で越冬します。
- 気温の上昇とともに分生子(ホウレンソウべと病菌の繁殖器官の一つで胞子)をつくり、空気伝染をして、周囲の健全葉に伝搬します。
- 種子伝染が起こる可能性もあり、この場合は病原菌の越夏、越冬器官である卵胞子が種子の内部や種皮に付着し、発芽と同時に第一次発生源として双葉に発病が起こります。
発生条件
- 伝染源となる分生子は7~15℃で形成されやすく、8~10℃で感染しやすくなりますので、昼夜の気温差がある春と秋、又は冷涼地で発生が多く見られます。
- 分生子形成、植物体への感染にはある程度の湿度が必要であることから、露地では天候が不順で降雨が多いか、曇天が続くような年、ハウスでは密植栽培など、湿度過多等の条件で発生が多くなります。
- 現在、国内ではホウレンソウべと病にはレース1~13の発生が確認されています(レースとは病原菌の系統・種類を言う)。ゆえに、これらの抵抗性を持たない品種では、本病が発生します。
- 早播き、厚播きのもの、施肥量の多いもの等は葉が繁茂して軟弱となるため被害が多くなります。
防除のポイント
耕種的防除
- 抵抗性品種を播種してください。
- レース1~8の抵抗性を持つ品種がべと病に侵され発病したときは、農業試験場等にレース検定をお願いして指導を受けてください。
- 発生が見られたら発病株や被害残渣は圃場に放置したり、すきこんだりせず、圃場外に持ち出して処分し圃場衛生に努めましょう。
- 窒素過多は発病が助長されるので施肥管理を適切に行いましょう。
- 露地では水はけをよくし、ハウスでは湿度管理を十分行いましょう。
- 早播き、厚播き等は葉が軟弱になり被害を助長するので止めましょう。
- 種子伝染の可能性があるので消毒済み種子を使いましょう。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
このページに掲載のイラスト・写真・文章の無断の転載を禁じます。
全ての著作権は株式会社武蔵野種苗園に帰属します。