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フィトフソラ病

フィトフソラ病は普通「疫病」といわれ、主に侵される野菜としてはトマト、ジャガイモ、ナス、ピーマン、トウガラシなどナス科、キュウリ、カボチャ、スイカ、ユウガオなどウリ科、ネギ、タマネギ、ニラなどネギ属、イチゴ等があります。病名は殆どの野菜類がトマト疫病のように「疫病」と呼ばれます。しかし、ナス根腐病、スイカ褐色腐敗病、ネギ、ニラの白色疫病と呼ばれる種類もあります。フィトフソラ病の発生は土壌湿度の高低、降雨の多少および発病温度などに大きく影響されます。
疫病の被害は非常に大きく、その原因は病原菌が宿主に進入・感染してから発病までの潜伏期間が非常に短くて、一度発病を見ると簡単に防除できないからです。

発生の生態
病原菌

病原菌はかびの仲間で、ナス科を侵す種類はPhytophthora infestans(フィトフソラ インフェスタンス)とPhytophthora capsici(フィトフソラ カプシシ)、ウリ科を侵す種類はPhytophthora capsici(フィトフソラ カプシシ)、Phytophthora nicotianae ver. parasitica(フィトフソラ ニコチアナエ パラシチカ)、ネギ属を侵す種類はPhytophthora porri(フィトフソラ ポーリー)です。

病徴

侵される野菜の種類によって病徴は違いますが、ここではネギ、タマネギ、ニラの病徴について説明します。

  • 主に葉身、葉鞘に発生しますが、とくに苗や若葉に発病が多い傾向があります。
  • 生育中は主に葉身の被害が顕著ですが、葉身でははじめ中央部や葉先に油浸状緑色不整形の不明瞭な病斑を生じ、のち白色に変わり病斑から折れて下垂枯死します。
  • 健全部と病斑部の境界部は淡緑色を示して明瞭です。
  • 雨天の際には病斑上に白色菌糸をうすく綿状に生じます。
  • 降雨が続くと伝搬や被害が大きくなります。
  • Botrytis(ボトリチス属菌)による白斑葉枯れの進展病斑と類似する病斑が見られることがありますが、白斑葉枯れは多湿状態におくと菌核をつくりますが白色疫病ではつくらないので区別がつきます。

生活様式
  • 病原菌は伝染器官として遊走子のう、卵胞子を形成し、越夏器官として厚膜胞子、卵胞子を形成します。これらの器官が土壌中で、越夏し感染源となります。
  • 病原菌の生育温度は5℃~28℃ですが、最適温度は15℃~20℃で、発病適温は比較的低く12℃~18℃で発生が多くなります。
  • 発生は春が主体で3~4月に著しくなります。
  • 1~2月が温暖で3月下旬から4月が冷涼な年に多発する傾向があります。
  • 伝染力が盛んなために降雨後一切に圃場全面にわたって発生し、被害を大きくすることがあります。
  • 特に、1~4月に豪雨による浸冠水を受けると発生が著しくなります。
  • 伝染源の役目を果たす遊走子のうの発芽には水滴(結露)が不可欠で、水滴を得て遊走子のうが発芽し、発芽した遊走子が葉に侵入して発病します。
防除のポイント
  • 前年の発病地や低湿地での育苗は避けましょう。
  • 罹病苗を定植畑に植え付けないように気を付けましょう。
  • 排水不良地や湿田地、降雨によって浸冠水するような圃場では栽培しないように圃場の選択には注意しましょう。
  • 窒素質肥料の多用は発病を助長するので避けましょう。
  • 発病地は出来れば土壌消毒を行いましょう。
  • 1、2月が温暖で、3~4月に降雨が多いと発病の危険性があるので初期病斑の早期発見に努め、発生が見られたら直ちに登録農薬を使用基準に従って散布しましょう。

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