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バーティシリウム菌

バーティシリウム属菌は外国では270種以上の作物を加害し古くからフザリウム属菌と同様に問題の土壌伝染性病害です。
ウリ科野菜、ナス科野菜、ウド、フキ、オクラでは半身萎凋病、イチゴ、大豆では萎凋病、ハクサイでは黄化病、ダイコン・カブではバーティシリウム黒点病と呼ばれています。

発生の生態
病原菌

病原菌はかびで、日本での問題の菌はVerticillium dahliae(バーティシリウム・ダリエ)と. albo-atrum(バーティシリウム・アルボ・アトラム)の二種類あります。

後者は北海道でジャガイモとアルファルファの半身萎凋病として発生しています。

病徴
  • 作物の種類によって若干異なりますが圃場での自然発病では次の共通点があります。
  • 幼苗期の発病は稀で、一般に収穫期が近づいてから病徴は顕著になります。
  • 病徴の進行は下葉から発病し、しだいに上葉に進みますが、株全体は短期間で枯死しません。
  • 発病始めには葉の一部がしおれ、葉縁は上側に巻き込みます。その後葉縁からくさび形に、あるいは葉脈間にまだらに退色斑となります。
  • 一般に急性な落葉はありませんが、オクラ・ピーマン・エダマメでは落葉します。
  • 茎や葉柄の導管部は黒褐色に変わります。
  • 病根の変色、腐敗などの外部病徴は顕著ではありませんが中心柱は褐変します。

病原菌の分化
  • 日本でのバーティシリウム病の主病原であるバーティシリウム・ダリエ菌は多くの作物を侵しますが菌には系統があり加害作物に差があります。
  • A群(ナスを強く侵す系統)
  • B群(ナスおよびトマトを強く侵す系統)
  • C群(ナスおよびピーマンを強く侵す系統)
  • D群(ハクサイ・ダイコンを侵す系統)
  • E群(上の5作物に対しては強い病原性が見られない系統)
生活様式
  • この病原菌はだ円形の分生子、微小菌核および菌糸を作ります。この分生子は土壌中では一ヶ月以内で病原力を失います。
  • 微小菌核や休眠菌糸は土壌中でもなかなか病原力を失うことなく二年ぐらいは生きます。これが第一次の感染源となります。
  • 宿主植物でない場合も根を侵して微小菌核を生産しますので休閑による防除効果が現れにくいです。
  • ホウレンソウ・ハクサイでは種子伝染します。
  • 病原菌は地表下90cmの深い土中でも分布しているが、表層ほど多いです。
発生の好適条件
  • アルカリ土壌では多発します。
  • 発病適温は20~25℃、夏季高温時には発病が抑制されます。
  • 多湿土壌では発病しやすくなります。
  • 土壌センチュウは発生を助長します。
防除のポイント

フザリウム属菌による病害と同様で、輪作・休閑は発病生態から効果が現れにくく総合的な防除で対応します。

耕種的防除
  • トマトでは抵抗性品種、ナスでは抵抗性台木に接木します。
  • 移植時の断根は病原菌の進入門戸となり易いので注意して下さい。
  • 植え傷みや土壌の過湿を避け、発病株を見つけたら早速抜き取り焼き捨てましょう。
  • 発病株などの残渣はできる限り圃場に残さないよう畑の衛生管理に努めて下さい。
  • 種子伝染が確認されているホウレンソウ・ハクサイでは健全種子を使用します。
  • センチュウ類の防除を徹底しましょう。
  • 発病圃場で使用した耕運機を含め使用した農機具は十分洗浄しましょう。
薬剤的防除
  • 病原菌に汚染されている圃場や連作地は必ず土壌くん蒸剤で土壌消毒しましょう。

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