ネギ黒腐菌核病
発生の生態
発生の原因
- ネギ黒腐菌核病はかびが病原で起こる病気です。
- 病原菌名はSclerotium cepivorum(スクレロチウム・セピボラム)です。
- ネギの他にタマネギ、ニンニク、ラッキョ、ニラなど広くネギ属を侵します。
病徴
- 発生はじめは苗床での12月頃が最初です。
- 病徴は2~3月から認められますが、彼岸頃に病気の最盛期を迎え、発病進展が早くなります。しかし、4月半ば頃からの気温上昇に伴って病気の進展が終息します。
- 初め葉先が黄白色になり、次第に葉全体が黄白色に枯れ込み株が萎凋します。そのため、生育が停止し、最終的には枯死します。
- 被害株を引き抜くと根が腐敗しているために簡単に引き抜けます。地際部は軟化腐敗し灰白色の菌糸が見られることがあります。
- 重症の株は根が腐敗して全く無くなり、地際部にはゴマ状の小菌核粒が形成されます。菌核が集団して形成されるとコブ状、カサブタ状になります。
- 苗床で発生すると、熱湯を注いだ様に苗が全滅して苗不足を招くことがあります。
伝染方法
- ネギ黒腐菌核病は土壌伝染性の病気です。
- 地際部に形成される菌核が第一次伝染源になります。ネギ黒腐菌核病は晩秋から早春にかけての寒い時期に発生する病気なので、菌核を作り土壌中で越夏します。
- 菌核はネギ属を作付けしない状態で4年以上生存します。
- 二次伝染は病株上に生じた菌糸が隣接の健全株を次々に侵して広がります。
- 地表から10cm以上深いところにある菌核は伝染源になりません。
発生条件
- ネギ黒腐菌核病は地温が10~20℃の低温期に蔓延します。地温が高い(24℃以上)と発生しません。
- 一般にネギでは気温が10~15℃のときに蔓延します。20℃以上になると発病が止まります。
- 湿度が40%くらいの乾燥土で多発します。
- 一般に水はけの良い砂質土、火山灰質軽埴土で発生が多くなります。
防除のポイント
耕種的防除
- 発病地での育苗は避けましょう。
- 発生の多い畑での連作は見合わせましょう。
- 発病畑ではネギ属以外の作物を5~6年程度作付けましょう。
- 苗の選別を注意して行い無病苗を定植しましょう。
- 外葉の葉柄を剥ぎ取って被害葉鞘を除去し定植しましょう。
- 30cm以上の深耕は菌核が土中深く埋没されて発病抑制効果があります。
- 夏期5~6ヶ月の湛水状態は菌核を死滅させるため発生源の除去に役立ちます。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
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