ネギ萎凋病
発生の生態
発生の原因
- ネギ萎凋病はかび(Fusarium属菌)の一種が病原で起こる病気です。病原菌の生態種は違いますが、この病気で有名なものにダイコンやカブ、コマツナの萎黄病があります。
- ネギのほかにタマネギにも病気を起こし、またニラ乾腐病菌も同じ病原であろうと考えられております。
病徴
- 育苗期間中から定植後15~60日の間に多く発生します。
- 発芽後まもなく病原菌に侵されたときには発芽前立枯れ(pre-damping off)となり、発芽して本葉が見えはじめた時は発芽後立枯れ(post-damping off)を起こします。
- 苗床で幼苗期に発病すると下葉が片側にねじれ、黄化するかあるいは萎れます。
- 苗床での後期発病苗は茎盤部や根が褐変し、これらを切断すると維管束が褐変しています。また病徴が進んだ株では下葉が一方にねじれることがあります。
- 症状はゆっくりと進行し、次第に全体に及んで枯死します。
- 本圃で発病すると下葉がねじれて黄化します。地下の葉鞘軟白部の側部は腐敗し、茎盤部や根も褐変・腐敗し、切断してみると内部の維管束に褐変が見られます。
伝染方法
- 萎凋病は普通は土壌伝染しますが、種子に病原菌(胞子)が付着して種子伝染を起こすこともあります。
- ネギやタマネギが栽培されると土壌中に生息していた病原菌の越年器官である厚膜胞子や厚膜化細胞が発芽し、根の分枝部分や付傷部分から侵入し、根や茎盤部を侵します。
- 発病条件が悪くなると、病原菌は耐久体(厚膜胞子、厚膜化細胞)を被害部分に形成します。
- これらの耐久体が被害残渣と共に土中に残り、次作の第一次伝染源の役目を果たします。
- 発病圃場を耕した農作業機械類で、簡単に他の圃場に病原菌を持ち込み、伝染が起こります。
発生条件
- 萎凋病の病原菌の発育適温は25~28℃で、地温が20℃以下、35℃以上になると発生は急激に低下します。
- 夏期や施設栽培で地温が23~30℃と高く、土壌が乾燥気味に管理された場合や砂壌土や赤土では発病が多くなります。
- 育苗中や定植後の根傷みは発病を助長します。
- 軟弱徒長気味での栽培管理も発病を助長します。
- 土寄せ時に根を切断すると発病が促進されます。
防除のポイント
耕種的防除
- 苗床、本圃の発病地では連作を避け、無病地に作付けしましょう。
- 発病株は見つけ次第抜き取り、圃場外に搬出して土中深く埋めるか焼却処分して下さい。
- 育苗中は過度の乾燥状態や高温を避け、根傷みを起こさないように栽培管理を行いましょう。
- 収穫後の残渣は圃場に放置したりすきこんだりせず、圃場外に持ち出して処分し圃場衛生に努めましょう。
- 石灰などで土壌pHを6.5以上に矯正しましょう。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
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