ネギ菌糸腐敗病
発生の生態
発生の原因
- ネギ菌糸腐敗病はかび(Botrytis属菌=ボトリチス属菌)の一種が病原で起こる病気です。
- ボトリチス属菌によるネギの病害として他には白かび腐敗病、小菌核腐敗病、ニラの病害では白斑葉枯病、タマネギでは灰色腐敗病や灰色かび病などがあります。
病徴
- この病気は北海道のビニールハウス内で越冬させたネギに発生しました。
- 症状は主に葉鞘と葉身に見られ、はじめ暗緑色水浸状の小さな病斑を生じます。
- この病斑は急速に拡大して水浸状暗灰褐色となり、その周囲に白~淡緑色の菌糸が生育します。
- 病斑部にはまれに2~7mm、黒色の類球形の菌核が形成されることがあります。
- 症状の進展に伴って、外葉が腐敗して内側の葉が突出する、いわゆる胴割れ症状がみられます。
- 多湿となったところでは地際部や付近の土壌表面に白~淡緑色の綿毛状菌糸を密生することがあります。
- ネギ白かび腐敗病は軟白部に淡黄褐色のやや凹んだ病斑を生じ、やがて腐敗します。胴割れ症状が見られることもありますが、病斑上に菌糸が白色でまばらに生育し、菌核を形成しません。
- ネギ小菌核腐敗病は軟白部に淡褐色の斑点を生じ、やがて腐敗します。腐敗の進行とともに胴割れ症状がみられ、表面 に2~5mm、暗褐色~黒色、楕円形~不整形の菌核を多数形成します。
- ネギ菌糸腐敗病とは病斑上の菌糸の生育や菌核の形成の様子が異なります。
伝染方法
- 病斑中央部には灰褐色の分生子が生じて空気伝染を行います。
- 罹病部にはまれに直径2~7mm程度、黒色、類球形で表面に凹凸を有する菌核が形成されます。
- 被害茎葉の残さや腐敗りん茎とともに菌核や菌糸の形で越冬し、分生子が生じて空気伝染を行います。
発生条件
- 菌糸腐敗病の病原菌の発育適温は20~25℃で、発病好適温度は10~15℃の比較的低温な条件を好みます。
- 北海道でのビニールハウスを利用した簡易軟白ネギ栽培では、冬~早春にかけて低温、高湿度環境下で多発生します。
防除のポイント
耕種的防除
- 昨年発生した圃場では、翌年も発生の危険性があるので、初発生の時期を注意して対処しましょう。
- 苗床、本圃の発生地では連作を避け、無病地に作付けしましょう。
- 発病株は見つけ次第抜き取り、圃場外に搬出して土中深く埋めるか焼却処分して下さい。
- 圃場を整備して排水対策を行ってください。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
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