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ネギ属の黒腐菌核病

病原菌名 Sclerotium cepivorum
英  名 White rot

診断のポイント
被害のようす

■育苗期の病徴

秋まきネギの苗床で、葉先が黄変し、灰白色に枯れ込み生育がとまります。

引き抜いてみると、地ぎわや根が褐色に腐敗して白いかびが見られます。

病状の進んだものは、根が腐敗して切れ、地ぎわ部にゴマ粒状の黒い菌核ができています。この菌核が多くできると、コブ状やカサブタ状に盛り上がりがみられます。

激発すると、煮え湯をかけたように、苗床全体のネギが枯れて全滅します。

■本圃(定植)の病徴

12月頃に定植したもの、あるいは3月~4月初めに早植えしたものでは、苗が枯れて欠株となります。

冬越しのネギや採種ネギでは、葉先から灰白色に枯れて生育がゆるくなり、症状の進んだ株は枯れます。

軟白部が黒変して腐敗し、また外葉のハカマ部分に黒色のゴマ粒状の菌核が多数形成されてカサブタ状となります。

黒腐菌核病の診断
  • 2月~4月にかけて、秋まきのネギ苗、冬越しのネギ、採種用のネギなどに発生するので、この時期に見まわって異常を早くとらえます。
  • 葉先から灰白色あるいは黄白色になって枯れ込み、生育が悪くなったり、苗がしだいに枯れてくるものがあったら、その株や苗をぬいて確認して下さい。
  • 被害の軽いものは、根や地ぎわがアメ色に腐敗して白いかびがはえています。ひどくやられたものは、根が切れやすく、地ぎわが黒く腐敗して、ゴマ粒状の黒い菌核ができています。
  • 本圃で早く植えた苗が枯れるときには、苗を抜いて、根や地ぎわの腐敗状態、菌核の有無をみて診断します。
防除のポイント

病原菌の生活史

  • 病原菌はかびの仲間で、ネギのほか、タマネギ、ニラ、ワケギ、ラッキョウ、ニンニクなども侵します。
  • 菌核は畑の土中に長い年月にわたって生存し、伝染源となります。そのため土中に菌核が存在する畑にネギやニラを作付けすると、秋から春にかけて、菌核が発芽して、苗の地ぎわや根を侵害して発病させます。
  • 本菌は低温を好み、発育適温は15~20℃、気温が10℃前後のときに、激しくまん延し、20℃以上でまん延は停止します。
  • 地表や地表下5cmくらいのところに存在する菌核が本病の伝染源として大きい役割をもっています。

発生しやすい条件

  • 発病畑での育苗や本圃での連作は多発を起こします。
  • 酸性土で排水不良の畑では発生が多くなります。
  • 春先の冷雨や雪、または3月~4月の気温が低い年には被害が大きくなります。
  • 発生地で育苗したものは、定植後の発生が激しくなります。
耕種的防除
  • 多発生地は、ネギ(ネギ属)の作付けを見合わせましょう。
  • 苗床は無病地に設け、無病苗を植え付けましょう。
  • 酸性の強い畑は消石灰を1a当たり12kg全面施用して鋤き込みましょう。
  • 深さ約30cmの天地返しを行いましょう。
  • 太陽熱消毒(石灰窒素100m当たり10kg、切りわら100kg加用)を行いましょう。
  • 被害株を除去しましょう。
  • 定植苗の外葉の葉鞘部分(ハカマ)を取り除きましょう。
薬剤的防除
  • ネギ属では、ニンニク黒腐菌核病に対して、プロシミドン水和剤(植付け前1回)があります。しかし、ネギを含めこれ以外のものには未登録です。
  • ネギ・タマネギの黒腐菌核病には、定植または播種前の土壌消毒としてバスアミド微粒剤(ダゾメット粉粒剤)が使用できます。
  • ニンニクの黒腐菌核病には、植え付け前にスミレックス水和剤(プロシミドン水和剤)の種球粉衣が使用できます。

データ作成2013/4/11

 

■ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

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