ニラえそ条斑病
発生の生態
発生の原因
- ニラえそ条斑病の病原体はウイルスです。
- トスポウイルスの一種であるアイリスイエロースポットウイルス (Iris yellowspot virus= IYSV) によって起こる病気です。
病徴
- ニラえそ条斑病は葉身に発生します。
- 葉身上に淡黄緑色の長さ1mm以下の微小斑が現れ、長さ1~3mmの楕円形もしくは紡錘形の小退緑斑となり、次いで周辺が淡黄色で内部が灰白色の長さ3~10mmのえそ条斑となります。
- 発病後期になるとしばしばこれらのえそ条斑の端がつながり、融合します。
- ニラえそ条斑病はボトリチス属菌による白斑葉枯病の症状と似ています。特に初期病斑は両者との判別がむつかしいため、エライザ法などで判定しましょう。
- 葉身上の釘で引っ掻いたような灰白色の連続的小斑は、ネギアザミウマによる吸汁食痕で、ニラえそ条斑とは判別できます。
- ニラの他にネギ、タマネギ、アルストロメリア、トルコギキョウにも類似の病気を起こします。
伝染方法
- このウイルスはネギアザミウマで伝染します。
- ネギアザミウマは幼虫時代にのみ病気植物からウイルスを獲得し、幼虫と成虫は死ぬまでウイルスを伝染します。
- 本ウイルスは接触伝染しますが、鋏で連続的に発病株を刈り込みしても、新しく伸びてきた葉身にえそ条斑はみられませんので、ニラでの接触伝染は起こりにくいようです。
- 種子伝染や土壌伝染はしません。
発生条件
- ネギアザミウマの発生は初夏から初秋に多く、この期間中にウイルスを体内に持つネギアザミウマの割合が高いとニラの発病株も多くみられます。
- ネギアザミウマは関東以南では露地でも越冬するようですが、冬季の発病はほとんどみられません。
防除のポイント
耕種的防除
- 抵抗性品種はまだ育成されておりませんので、ウイルス媒介虫であるネギアザミウマのニラへの飛来防止に努めましょう。
- 育苗床でネギアザミウマが増えないように育苗床を寒冷紗(目合い0.4mm)で被覆して、ネギアザミウマによる苗床伝染を防止しましょう。
- 定植時にネギアザミウマの付着したニラ苗を持ち込まないように注意しましょう。
- 定植前にハウス施設内を蒸し込み処理して、生息するネギアザミウマを完全に駆除しましょう。
- ハウス施設の被覆資材として紫外線除去フィルムや目合い0.4mm以下の防虫ネットを使用してハウス施設内へのネギアザミウマの侵入を防止しましょう。
- 側窓の外側にハウス施設を囲い込むように粘着シートを設置して屋外からのネギアザミウマの飛来侵入を事前に防止しましょう。
- ハウス施設内に粘着シートを吊るして施設内部のネギアザミウマを捕獲しましょう。
- 発病ニラ株やハウス施設内外雑草を除去して、ウイルス伝染源やネギアザミウマの生息場所をなくしましょう。
薬剤的防除
- 最近の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
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