ダイコン黒斑細菌病
発生の生態
発生の原因
- 黒斑細菌病は細菌が病原で起こる病気です。
- 病原菌名はPseudomonas syringae pv. maculicola(シュードモーナス・シリンガエ・病原型・マクリコーラ)と呼ばれます。
- ダイコンのほかにハクサイ、カブ、キャベツ、カリフラワーなど多くのアブラナ科野菜にも病気を起こします。
病徴
- 葉、葉柄、根頭部および花梗や花蕾に発生します。
- 葉には始め水浸状の小さな斑点を生じ、のちに黒褐色に変わり、この黒褐色病斑は拡大して周囲が黒く縁どられた灰色~褐色の病斑となります。
- これらの病斑が進行すると葉脈に区切られた不整形斑となり、べと病や炭疽病の病斑との区別が難しくなります。
- 本病に侵された葉は奇形となることもあります。
- 根頭部では初め小さい灰色の病斑を生じ、やがて黒色の不整形の病斑となります。
- 根頭部の表皮下に薄黒色の入れ墨症状のような変色が見えることもあります。
- 根部内が黒色~褐色に変色することがありますが、黒腐病や軟腐病のように内部が軟化腐敗して空洞となったり、悪臭を放ったりすることはありません。
- 病気が進むと葉の黄化が激しくなり離脱しやすくなり、根部の肥大も悪くなります。
伝染方法
- 種子や土壌に存在する病原細菌が第一次伝染源となります。
- 本病原菌に汚染された種子を播種した場合には子葉や胚軸下部が侵され、黒色斑を形成します。
- 土壌中の細菌は風雨によって飛散し、気孔、水孔、害虫の食害痕などから容易に作物体に侵入し、病気を起こします。
発生条件
- 温暖で雨の多い春と秋に発生します。
- 気温が30℃以上の盛夏や厳寒期には病勢は進展しません。
- 砂質土壌は粘質土壌より発生が多くなります。
- 窒素質肥料の不足などで生育が衰えた時にも発生しやすい傾向があります。
防除のポイント
耕種的防除
- 無病種子を使用してください。
- 密植を避けて、過繁茂にならないようにしましょう。
- 葉や根部に傷をつける害虫の防除に努めましょう。
- 生育中期以後は肥料切れにならないように注意しましょう。
- 発病の激しい株や葉は取り除き、圃場衛生に努めましょう。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
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