ダイコン白さび病
発生の生態
発生の原因
- ダイコン白さび病はかびが病原で起こる伝染性の病気です。
- 病原菌名はAlbugo macrospora(アルブゴ・マクロスポラ)と呼ばれます。
- 本病原菌には系統があって、ダイコン菌、コマツナ菌およびワサビ菌の3菌系があります。コマツナ菌はカブ、ハクサイやチンゲンサイは侵しますがダイコンは侵しません。一方、ダイコン菌はダイコンだけを、ワサビ菌はワサビだけを侵します。
病徴
- 春と秋の天候が不順な年に発生が多く見られます。
- 病斑は葉、茎、花梗、根部につくられます。
- 葉では初め、葉の裏面に淡緑色で周囲がぼやけた小斑が生じます。その後、小斑は乳白に盛り上がり、白色の粉末(胞子のう)を飛散します。発病が激しいと葉が肥厚して収縮し奇形になります。
- 茎、花梗等では被害組織が肥大して奇形になります。
- 最近の研究でダイコンの根部に発生する通称わっか症は白さび病菌が起こすことがわかりました。
- わっか症の発生部位は地表面に露出した根面(青首部)に多くみられます。時には地際部分の浅い根面にも発生が見られることもあります。
- 最初は輪郭のぼんやりした淡い黒色のリング状です。形は円~楕円形をしており、大きさは2~3mmのものから1~2cmのものまであります。これらの病斑が古くなると、中央部が褐変して亀裂、陥没した円形、不整形の褐斑症状を示します。この褐変は表層部に限られ1~2mmの深さにとどまります。
- わっか症は施設栽培、露地栽培を問わず発生します。播種後50日頃から発生が見られ、その後収穫期まで発生と被害があります。
伝染方法
- ダイコン白さび病は卵胞子(病原菌の越夏、越冬器官)や菌糸の形で被害株で越夏、越冬します。
- 生育適温になると分生子(ダイコン白さび病菌の繁殖器官の一つで胞子)をつくり、空気伝染をして、周囲のダイコンに伝染します。
- 空気伝染で植物体に取り付いた分生子は降雨、朝露などの水滴中で発芽し、この発芽した病原菌(遊走子)が、葉の気孔からダイコンに侵入します。
発生条件
- 伝染源となる病原菌(分生子)は0~25℃で発芽しますが、発芽最適温度は10℃前後であるため早春や晩秋に発病が多くなります。
- 病原菌は水滴があると発芽して遊走子を生じることから、露地では天候が不順で降雨が多いか、曇天が続くような年、ハウスでは密植栽培など、湿度が高い条件で発生が多くなります。
- 昼夜の温度格差が大きくて結露をする気象条件下でも発生が多くなります。
- 厚播きや施肥量の多い栽培では葉が過繁茂となり軟弱となるため発生・まん延・被害が多くなります。
- わっか症は施設より露地の秋冬作の収穫前で被害が多くみられます。
防除のポイント
耕種的防除
- 発生が見られたら発病株や被害残渣は圃場に放置したり、すきこんだりせず、圃場外に持ち出して処分し圃場衛生に努めましょう。
- 被害株はその場で直ちにビニール袋などに入れ、白色の粉末(胞子)を飛散させないようにしましょう。
- 窒素過多は発病が助長されるので施肥管理を適切に行いましょう。
- 露地では水はけをよくし、ハウスでは低湿度管理に気をくばりましょう。
- 厚播きなどは葉が軟弱になり発病のまん延や被害を助長するので注意しましょう。
薬剤的防除
- 最新の登録農薬を確認し、使用法に従い正しく使用しましょう。
このページに掲載のイラスト・写真・文章の無断の転載を禁じます。
全ての著作権は株式会社武蔵野種苗園に帰属します。