種苗事業部 産地と栽培情報

2013年

武蔵野交配 「春賞味」チンゲンサイを導入して

春先の栽培でも抽たいの心配がなく、安定している

群馬県
JAたかさき 営農部 園芸課
課長 関根 越夫

地域の概要

 高崎市は、広大な関東平野の北端に位置する、群馬県を代表する都市です。市の人口は37万人を超え、面積は459.41km2に及びます。
 全国有数の交通拠点都市であり、関越自動車道と北関東自動車道の分岐点、上越新幹線と長野新幹線の分岐点ともなっております。新幹線の停車する高崎駅は群馬県の県庁所在地である前橋市の玄関口ともなっています。特産品としてはダルマの生産が有名で全国シェアのおよそ80%を占めています。また梅の生産量も全国2位となっています。

産地の概要

 JAたかさき管内は赤城・榛名・妙義の上毛三山と、利根・烏・碓氷の三河川に囲まれた農業の最適地です。肥えた土壌では、米麦をはじめ各種野菜や、マイタケ、シイタケなどの作物が生産されています。JAたかさきは、この自然豊かな高崎市で農業の一端を担っており、平成15年3月1日に市内の2農協が合併し、新生JAたかさきとしてスタート致しました。
 農業としては昔から米麦・養蚕が中心の地域で、現在も米麦の面積が約1,400ha、野菜類の面積が約300haとなっています。野菜類は露地・ハウス共にあり、トマト、ブロッコリー、エダマメ、長ネギ、ホウレンソウ、コマツナ、タマネギ、ナスなど栽培は多品目に渡っています。生産者はこちらの野菜センターに出荷されている方々で180名前後でしょうか。
 現在は環境保全型農業を目指し、土作りに力を入れています。その中でも農薬や化学肥料の使用を通常の5割以下に減らして栽培をしている農作物は「高崎市特別栽培農産物(減農薬・減化学肥料農産物)」という特別規格を設けて販売しております。目印として特産品であるダルマのマークを貼って販売しており、現在、米、チンゲンサイ、タマネギ、ブロッコリー、ホウレンソウ、ブルーベリー、トマトの7品目が認証され、市内150の農家で栽培されています。
 出荷先は主に県内、京浜、東北などとなっています。


チンゲンサイ部会について

 現在、延べ面積約25ha、生産者約70名、年間640tを出荷しています。昨年、JAファーム(農協出資の農業法人)での栽培も始め、出荷量が増え、県内1位の産地になりました。チンゲンサイの作付けが始まったのは約20年前。高齢化問題が浮き彫りになってきたことを受け、高齢者でも作業面・コスト面で合う野菜ということでチンゲンサイが作られ始めました。(株)武蔵野種苗園とはその頃からの長い付き合いになります。近年は様々な品種が発売されていますが、「夏賞味」「冬賞味」は20年経った今でも作付けが盛んに行われています。



「春賞味」チンゲンサイ 導入の経緯

 春先3~5月に播種する品種は毎年悩まされていました。冬用品種の「冬賞味」などをひっぱると暴れてしまったり梅雨明け後の高温障害が出たりします。かといって夏用品種の「夏賞味」などを前倒しすると抽たいの心配があります。様々な品種が発売されている中でも、なかなか「これだ!」という春用品種が見つかりませんでした。そこで今回紹介して頂いた「春賞味」を試験したところ、100点満点とは言えませんが今までの品種の中では最も春にはまる品種だと思いました。
 「春賞味」は上記の「冬賞味」と「夏賞味」の中間の性質を持っています。まだ比較的低温であり、抽たいの心配のある3~5月の播種で、温度の上昇してくる5~7月に収穫する作型でも草勢が大人しく暴れません。また晩抽性もそれなりにあり抽たいも心配がありません。梅雨明け後の照りによるチップバーンには注意は必要ですが、ほぼ心配ありません。
 また「春賞味」はこのような特性だけでなく、草姿やボリューム、作業性の点でも良い品種だと思います。葉色や葉柄の色が非常に濃く、艶があるため荷姿が良いですし、株も張り過ぎないため袋詰めもしやすいと聞きます。


「春賞味」を栽培して・・・

 作付面積は露地とハウスで約60a、チンゲンサイとブロッコリーを栽培しています。これとは別に米と麦があります。チンゲンサイは5.4m×43mのハウスと露地の両方で栽培しています。育苗には299穴の発砲スチロールのトレイを使用し、定植用のマルチは株間×条間が15cm×15cmのものと18cm×18cmのものを季節によって使い分けます。収穫は基本的に早朝に行い、出荷締め切りの11時半までに間に合うように袋詰めして出荷します。出荷数は春70~80箱/日、夏40~50箱/日くらいです。
 「春賞味」は試験開始から数えると今年で3年目の栽培になります。従来栽培していた品種と比べると、抽たいしない点や梅雨明け後のチップバーンも出にくいなどが良い点だと思います。ボリュームや葉色なども問題ありません。今のところ、「春賞味」以外に春用として使用できる品種がありませんので、来年度も使用していくと思います。
 改善を要望するとすれば比較的丈が短いところです。問題になるほどではないのですが、他品種と比較するとどうしても差が出るのでもう少し丈の出来る品種を要望します。




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