種苗事業部 産地と栽培情報

2011年

武蔵野交配「雪まつり」カリフラワーの良品生産

高冷地の9月~10月収穫に向く、湿害に強いカリフラワー

長野県南佐久郡川上村
油井 保成

 地域の概要

南佐久郡川上村は長野県の東端、秩父多摩甲斐国立公園の一角を占め、千曲川(信濃川)の最上流部に位置しています。村域全体が標高1,000mを超える高冷地で、7~9月の真夏に冷涼な気候をいかして高原野菜の生産が行われ、なかでもレタスの生産量は日本一を誇っています。

ブームスプレーヤでコナガ防除の薬散をしている。15mの長いノズルが壮観

カリフラワーの導入経緯

私は7年前まではレタス、ハクサイを作っていましたが、レタスの根腐病に苦慮していました。当時は根腐病の抵抗性品種はまだ発表されていませんでしたので、このままレタスを作っていってもいいのか、10年先はどうなるのか不安でした。祖父、父の代から50~60年、レタスを作っていましたので、カリフラワーに転換するときは家族会議をして決めました。レタス生産は自信がありましたが、カリフラワーを作ったときは栽培の方法も満足に知らないところからスタートしたものですから、市場からクレームの嵐でした。そのころから㈱武蔵野種苗園の育種農場のブリーダーの方にいろいろ教えていただきながらやってきました。「雪まつり」を導入したのは5年前からです。

花らいが見え始めたら外葉を折って花らいを覆う

「 雪まつり」の栽培概要

カリフラワーの耕作面積は4haで、2作する畑もあるので延べ作付面積は6haになります。圃場の標高は1,200mほどです。品種は「雪まつり」のほかに他メーカーの2品種で、初夏どりの作型は3月下旬播種の温床育苗からスタートします。この作型は収穫期が6月中下旬から7月中旬ごろまで続き、梅雨の時期と重なるため一番苦労します。最近はゲリラ豪雨など雨量や強さが半端ではないので心配です。
「雪まつり」は6月25日から7月19日まで播種し、7月24日から8月12日まで定植、収穫は9月9日から10月末までです。定植が旧盆までずれ込むと10月末までに収穫できなくなり、農協の真空予冷庫の稼動期間が終わってしまうのです。
播種は200穴トレイで60~70枚、中2日開けて段播きしています。カリフラワーで段播きは珍しいかと思われますが、レタス栽培の仕方から得たやり方です。
栽植密度はうね幅46~47cm、株間40cmです。施肥量は土壌分析をしてくれる機関で分析してもらってから決めます。元肥施用のみで、窒素、リン酸、カリ成分量で10a当り、16.60kg、23.96kg、14.94kgと細かい数値になっています。2作する圃場はリン硝安カリを60kgほど追肥します。堆肥は豚ぷんペレットを300kg投与します。
収穫作業はレタスと同じように夜中から始まり、午前中に箱詰めして午後2時までに農協の集荷場に出荷します。収穫量は6kg入り段ボール箱で1日300~400箱。レタスを出荷している全国の市場へ出荷されています。労力は家族6人とアルバイト4人です。

収穫作業は暗いうちから始まるが、撮影用にお願いした

収穫適期のものから切り取っていく。外葉を切除して手提げかごに入れる

1日の出荷量は300 ~ 400箱。前日に段ボール箱を用意しておく

 

「 雪まつり」の特色

「雪まつり」は生育期間が短く、揃いがよいこと、花らいは純白でボリュームのあるところが一番気に入ってます。また、根張りがよいので過湿にも強いです。
カリフラワーはレタスに比べ手間が倍かかり、労力的には厳しいものがありますが、やりがいはあります。品種数を3品種にしているのには理由があります。品種数が多いと問題が生じたときに原因を追究しにくいからです。品種の特性をよく把握してこれからもよい品物を生産していきたいです。

1箱8個、6kg入り段ボール箱で出荷

 

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