種苗事業部 産地と栽培情報

2013年

武蔵野交配「若殿」小ネギを導入して

葉色濃く、多収性で調製作業のしやすい

大分県
JAおおいた 大分味一ねぎ広域集出荷施設
吉崎 健吾

産地の概要

 大分県での土耕小ネギ栽培は、県北地域で一大産地が形成されています。県内では昭和55年に国東地区(旧武蔵町)でフライト野菜の主要推進品目として栽培を開始し、中津・宇佐地区では昭和61年に企業的農業をめざし、水田からの転換品目として栽培を開始、拡大しました。現在は中津、宇佐、豊後高田、国東、杵築市で47ha、1戸平均約60aで年間約1,000tを生産しています。
 当初国東では「武蔵ねぎ」、中津・宇佐では「大分味一ねぎ」として別々に販売されていましたが、高齢化による農家減少への対応と流通ニーズの多様化に対応するため、平成20年に部会を統一し、「大分味一ねぎ」のブランド名で関東を中心に周年出荷を行っています。

気象条件

 産地は県北に広く分布していますが、瀬戸内海に面した平坦地が多いです。年間平均気温は15.8℃、年平均降水量は1,390mmと比較的温暖な気候を活かして、主に雨よけハウスで栽培しています。


栽培の概要

 当産地では播種から収穫まで夏場で約60日、冬場で約120日かかり、年間約3.5回転させています。また土壌のバランスを維持しながら肥効を保ち、安定して生産が続けられるように、土壌分析を年に複数回実施し、肥培管理に活かしています。


「若殿」の導入経緯

 小ネギ栽培開始当初から、産地に合った品種を絶えず探求しており、各社の有望品種を試験導入してきました。その中で、平成23年度に「若殿」の実証圃場を産地内に複数設置した所、品質、作業性で好成績が得られたため、平成24年度から本格的に導入しています。



「若殿」栽培の感想

 当管内で従来から栽培されていた品種や、他の試験品種と比べても色が濃く、1株1株が重く、収量も多く、比較的作りやすい品種であると感じています。また収穫作業も収穫後の調製作業もしやすく、歩留まりも遜色なく、作業性にも優れているとの声も多く聞かれています。欠点としては、葉先がやや弱く、葉先枯れが認められることと、特に冬場に葉太りが良すぎることが上げられます。
 全体的にはわが産地の小ネギ生産を安定させるためには有望な品種と感じています。



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