種苗事業部 産地と栽培情報

2016年

春から秋までピカイチ採用!武蔵野交配「里きらり」

河北潟生産出荷組合施設園芸部会

「北陸地方でさらなるコマツナの普及を!」と意気込む部会の皆さん

産地概要

〈河北潟干拓地〉
河北潟干拓地は、金沢市(湖南地区)、かほく市(湖北地区)、津幡町(湖東地区)、内灘町(湖西地区)の2市2町の行政区域により構成されており、金沢市街まで16kmの距離にあります。
現在、麦・大豆・水稲(加工用)等の穀物やすいか・れんこん・小松菜等の野菜、なし・ぶどう等の果樹の栽培と酪農が行われています。特に麦・大豆では大型機械を利用した生産が展開されています。また、酪農については、県下最大であり、乳用牛の飼育が行われています。
気候は、年平均気温14.1℃、降水量2,600mmとの事で、特に夏季は高温多湿の傾向があります。干陸総面積は1,356haあり、その内農地は1,071ha(851haが畑地、220haが飼料畑)道路・施設用地は285haとなっています。客土をした一部の砂質土壌以外は重粘質土壌で、海抜は平均でマイナス2mのため、用排水施設が完備されています。
 
〈河北潟生産出荷組合施設園芸部会〉
コマツナ生産を行なっている部会員は17名になります。頭上潅水設備の整ったパイプハウスを利用し、周年栽培による年間390tの出荷を行なっています。出荷先は金沢市中央卸売市場が主ですが、一部は大阪市場への出荷も行われています。
主に利用している品種は6品種ですが、「里きらり」と「冬里」の2品種でほぼ周年の栽培が可能です。

 


導入までの経緯と栽培のポイント

「里きらり」導入以前は、夏場のコマツナの生育は早いため収穫に追われ、またボリュームが不足する事が問題となっていました。種苗店からの紹介を受けた「里きらり」は、一定まで伸長すると丈が止まる為に在圃性が良く、収穫遅れとなることが無くなり、ボリュームも他品種と比べ株張りが良かったため、春から秋にかけての生産品種に採用する事となりました。他にも葉色の濃さや、照りの強さ、艶やかさなども評価を受けております。
夏場の生産におけるポイントは水分管理と遮光です。「里きらり」は初期の水分要求量が高いため、多量の潅水を必要としますが、栽培後期にかけては水分量を減らし栽培を行ないます。部会の園芸施設は頭上潅水設備が整っているため、天候などのタイミングを見計らいつつ、病害の発生に気を配りながら、株張りを良くしボリューム感を出すように、こまめに水分管理をすることにより調節しています。また、高温期は播種時から遮光し温度を下げる事により、陽射による葉焼けを防ぎつつ生育が止まらないように気を付けています。

独自の取組みやこだわり、今後について

〇エコ農業推進団体
石川県では、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、「エコ農業者」の認定があります。これは全国で広がっている「エコファーマー」と同じものです。これに対し「エコ農業推進団体」は石川県独自の制度で、環境保全に取り組んでいる地域、団体などが認定されます。 河北潟生産出荷組合施設園芸部会ではこの認定を受け、「里きらり」の栽培に取り組んでおります。
 
〇食育授業、収穫体験への取り組み
保育園などで食育講座を開催し、生産現場で小松菜の収穫体験会を行なう事によって、小松菜の知名度を高めつつ農業全体に興味を持って貰えるような取り組みを行なっております。
 
〇限界への挑戦
現在、「里きらり」を3月から10月中旬にかけて播種し、生産しております。今後の試みとして、11月中旬まで播種を行ないつつ、在圃性の良さを活かして出荷を絶やさないような生産を試していきたいと考えております。
 

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