種苗事業部 産地と栽培情報

2018年

【宮崎県西都地域】葉色濃く、作業性の優れる「ハイパーグリーンベルト」を栽培して

宮崎県 JA 西都
営農指導課
濵砂 龍也

平成29年夏、ハイパーグリーンベルト圃場

 

 

地域概要


 

JA西都は、宮崎県のほぼ中央に位置する西都市と西米良村を管内とします。

一ツ瀬革、三財川、三納川の流域に平野が広がり、豊かな水と土、温暖な気候に恵まれた西都市では施設園芸が盛んです。

林野面積が広く寒暖差のある西米良村では、ユズやシイタケの栽培が中心ですが、近年では団地化したハウスで中型カラーピーマンを栽培し、西都市地域との周年出荷にも取り組んでいます。

また、畜産も盛んで、平成29年に宮城県で開催された全国和牛能力共進会では、管内で肥育された牛で優等賞主席に輝き、農林水産大臣賞を受賞するなど宮崎の畜産振興に大きく貢献しました。

 

 

にら部会の概要


 

にら栽培は昭和49年より2名で栽培を始めたのが西都市での始まりです。翌昭和50年に、にら部会を結成し現在は部会員数46名、栽培面積31ha、平均作付面積60aまで拡大しました。近年では若手・担い手生産者を中心とした「ニラ産地の未来を語る会」を発足し産地を維持・発展させるため、ニラを取り巻く課題に対し生産者自らが考え行動することにより西都が元気になる事を目指しています。

 

 

ニラの栽培について


 

主となる促成栽培(冬春作)は1月末から播種し、5月末に定植。

株養成機関を120日以上設け、10月末から収穫を始め、翌年の6月まで行われます。年間生産計画1600tを計画し、「促成」「雨よけ」「露地」栽培を組み合わせ、執念栽培に取り組んでいます。

「JA西都にら部会」では播種が毎年行われ更新されています。

宮崎県が畜産王国ということもあり、良質な堆肥が多く使われており良質なニラを出荷しています。また、品質評価基準「さ・い・と」を導入し、選別基準を統一することにより高度平準化を図っています。

 

品種構成


 

現在の品種構成は①ワンダーグリーンベルト(54%) ②ミラクルグリーンベルト(25%) ③ハイパーグリーンベルト(10%) ④その他(1%)となっています。

ハイパーグリーンベルトの作付は平成23年の全国にら生産者大会で発表され、試作用の種子を提供されたことから始まりました。試作の結果、既存品種に比べ「葉色の濃さ」「ボリューム」「立性感」「葉先枯れの少なさ」「低温伸張性」が評価され、当品種の作付面積が増えつつあります。

 

 

ハイパーグリーンベルトを栽培して


 

JA西都ニラ部会 米良祐輔部会長

ニラの栽培面積は約100aで、ハウス促成栽培を中心に雨よけ栽培も取り入れ、周年出荷で栽培を行っています。労力は家族4名に、刈り取り・結束作業でパート8名での雇用型農業を営んでいます。

JA西都の主力品種はワンダーグリーンベルトですが、5年程前から管内でもハイパーグリーンベルトを導入し、少しずつですが生産者、作付面積が拡大してきています。

ハイパーグリーンベルトについては立性で葉幅が広いことと、冬場の低温伸張性が優れていて収穫回転が早い、また春先での葉色の濃さも魅力ある特性と言えます。

一方で株養成機関の管理面で夏場の葉先枯れと水管理、肥料の加減がやや難しいと感じる所もあります。分けつ数は少ないと感じますが、1本当たりの重量がある事を考えれば1束あたりの結束本数が少なく、ボリューム感のあるニラと言えます。

JA西都ニラ部会としては、ハイパーグリーンベルトの特性を活かし、生産者と消費者のニーズに沿ったニラづくりを展開していきたいと思います。

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