種苗事業部 産地と栽培情報

2019年

【千葉県旭市】抽苔も安定し高品質!武蔵野種苗園の「パクチー」を周年栽培

千葉県旭市
仲条 孝一

 

 

地域概要


 

旭市は千葉県の北東部にあたり、九十九里浜の最北端に面しております。平成17年に当時の旭市・海上町・飯岡町・干潟町が合併して現在の旭市となりました。市の中央部を東西に、JR総武線と国道126号が通り、周辺は市街地として発展しています。1年の平均気温は15℃と温暖な気候であり、県内でも有数の農業や水産業の盛んな地域となっております。

 

 

 

経営概要


 

5年前からパクチーの栽培を始め、周年で出荷をしております。以前はチンゲンサイを主力としていましたが、徐々に量を減らして今ではほぼパクチー専門です。

時期にもよりますがパートさんを含め最大7名で経営をしております。

経営面積は約60aで、露地栽培は行わず全てハウスで栽培しています。各ハウスをローテーションしながら毎日途切れることなく出荷ができるような体制を整えています。青果物は全農農協を通して東京、千葉等の市場に向けて出荷しています。

出荷量は最盛期だと日量200ケース程になりますが、盛夏期等はどうしても出荷量が落ちてしまうのが課題です。将来的には、年平均で日量70~80ケース程出せるような出荷体制を整えていきたいと考えております。

 

 

 

導入の経緯


 

以前は他メーカーの品種を使用しておりましたが、武蔵野種苗園の営業から当品種を勧められ、試験的に導入しました。導入した年の春、他メーカーの品種に抽苔が多数見られたのに対し、当品種には殆ど抽苔が見られず、葉の形状も良かったため、それからは当品種一本で周年栽培をしています。発芽に関しても綺麗に揃ってくれますので、安定して高品質な青果物を出荷できています。

 

 

独自のこだわりなど


 

パクチーの播種方法については、果皮を割って中の種子のみ植える、播種前日から水に漬けておく等、生産者によって方法は変わってくると思います。私も色々と試行錯誤しましたが最終的にはそのまま播種をして灌水を十分に行うという形に落ち着きました。それで発芽は綺麗に揃ってくれます。

また、パクチーの圃場は常にふかふかで水はけの良い土を作ることを意識しています。そのため、圃場の表面が覆われるくらいにたっぷり堆肥を入れるようにしています。他の作物では肥料分が多すぎて株が暴れてしまうくらいの量ですが、パクチーについては問題なく生育してくれます。ふかふかの柔らかい土にすることで、根も十分に伸び品質の良い株も収穫できています。

出荷に関しては独自のFG袋を作成した上で、鮮度を保つために根付きで出荷を行っています。根を落としてしまうとどうしても鮮度が落ちやすくなってしまうため、手間ではありますが根ごと掘り起こして収穫を行っています。栽培を始めた当初はまだ圃場の土も硬く、大変な作業でしたが、ふかふかの土になった今では大分作業も楽になりました。

 

 

要望


 

現在は当品種を周年で栽培していますが、気温の高い時期はどうしても葉の傷みが見られたり、発芽や生育が不揃いになってしまいます。特に今年の夏は異常な暑さであったため、例年以上にそのような症状が多く出てしまいました。そのため、より耐暑性の強い品種が今後育種される事を期待しています。

また、比較的晩抽性の品種ではありますが、年によっては花が多く咲いてしまうこともあります。今以上に晩抽性に優れた品種についても合わせて育種を進めて頂ければと思っています。