種苗事業部 産地と栽培情報

2018年

【北海道知内町】北の産地で「ニラ」を作り、そして伝える

知内町ニラ生産組合
組合長 大嶋 貢

 

 

知内町について


 

知内町は、北海道の南端渡島半島の南西に位置し、東側は津軽海峡を隔てて青森県下北半島を望み、木古内町、福島町、上ノ国町と境界を接し、総面積は196.66平方kmで全体の81%以上が森林地帯で占められています。

農業は肥沃な土地と恵まれた気象条件を活かし水稲を主体とした基盤整備等を進めてきましたが、米の生産調整政策により近年は水稲と施設野菜、畑作、畜産との複合経営を中心に農業の振興を推進しています。特にニラをはじめ、ホウレンソウ、トマト等を中心とした施設野菜は知内町の農家経済を支える重要作物です。

気象については北海道内でも比較的温暖な気候ではありますが、夏の最高気温はやや低く、気温の較差は少ないです。しかし、6~7月初旬に偏東風(ヤマセ)が吹くことが多く、日照も少なくなり、農作物に悪影響を及ぼすこともあります。

またご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、知内町は、北島三郎さんの出身地でもあります。

 

 

 

知内町ニラ生産組合


 

昭和46年、将来を夢見る青年8名が集まり「知内ニラ栽培研究会」が発足、その後、生産拡大、生産体制の確立を図るため、栽培研究会を発展的に解消し、昭和50年、「知内町ニラ生産組合」が発足されました。現在は生産戸数69戸、作付面積28.5ha、出荷量1,671t、販売金額は12億円を超え、今年度は13億円を目標にしています。

生産組合の理念は「組織力と団結力、共同精神と仲間意識」としており、具体的な組織活動を挙げると、①個人技術の公開、②組合員間の情報共有、③栽培管理技術の統一、④共同ビニール掛け作業、⑤出荷の平準化対策、⑥若手発案の機会づくり、など「北の華」ブランドを守るため、また、皆様により知ってもらうため、組合を運営しています。

 

 

 

栽培概要


 

当組合には大きく分けて2つの作型があります。

主要な作型はハウス栽培で、3月に播種し、6月に定植、翌年の1月から収穫が始まる作型です。3月加温ハウス栽培、無加温ハウス栽培の前期ニラと夏秋どりの後期ニラの組み合わせになります。計8~9回刈り取り、廃耕になります。

こちらの作型には「パワフルグリーンベルト」を使用しています。

もう一つが組合では”晩秋作型"と呼んでいる作型になります。

1年目の春に定植し、収穫は2年目の春に1回、秋に2回、3年目の春に1回、秋に2回の計6回行い廃耕となる作型です。

昨年試験を行い、「エナジーグリーンベルト」(当時は番号)は、この作型で使用できそうだと考えています。現在は、違う品種を使用しています。

 

 

エナジーグリーンベルトを栽培してみて


 

昨年試験をしましたが種子も少なく、一部の生産者のみで試験栽培を行いました。感想として、一番良い点は外葉が倒伏しないところだと思います。葉も硬いため調整作業もしやすい感じがあります。葉色が濃いのも良い点だと思います。

逆に、現在、晩秋作型では「ハイパーグリーンベルト」を使用しているところもあり、低温伸長性には若干物足りなさを感じます。もう一点は抽苔期がだらだらと続く点も気になりました。ただ、まだ試作を始めたばかりなので、今後も良い点、悪い点を見極めながら、組合、また武蔵野種苗園さんと、情報交換出来れば良いと思っています。

 

ニラ共同調整包装施設完成


 

平成28年に産地パワーアップ事業で整備を要請していた「ニラ共同調整包装施設」が平成29年1月12日に完成しました。

この施設では計量、結束、調整、包装、梱包を行っており、各生産者の労力を軽減することが出来ます。

出荷調整作業の手間がなくなる事で労働時間の軽減が図られ、余剰労働力を規模拡大や品質向上のための肥培管理等に充てることが狙いです。本年度から稼働させられているのでこれから課題も見つかってくるとは思いますが、収量、品質ともにより向上させることが出来れば大成功事業と言えます。

 

 

今後の展望


 

「ニラ」という品目がキャベツやダイコンの様に”いつも冷蔵庫に入っている野菜”になって欲しいと思っています。おそらく各産地でもプロモーション活動を行っていると思いますし、勿論我々も行っていますがまだまだ消費者の方に伝わっていないとも感じています。食べ方や成分など、ニラの新しい良い情報をどんどん発信して、全国のニラの消費が増える事を願っています。また、武蔵野種苗園さんにも良い品種の開発はもちろん、ニラメーカーとして産地に協力してほしいと思います。

 

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