種苗事業部 産地と栽培情報

2011年

「味甘ちゃん」「味甘ちゃん80」で長期出荷に取り組む

甘さ天下一品のスイートコーン

群馬県沼田市
生産者 吉野 豊

地域の概要

群馬県沼田市利根町は旧利根村が平成17年に沼田市と合併して、今の町名になりました。県の北東部に位置し、周囲を標高1,300~1,400mの山々に囲まれた農耕地は標高が高く、レタス、スイートコーン、ホウレンソウをはじめ、赤城高原野菜として全国へ出荷されています。関越自動車道の昭和インター、沼田インターに近く交通の便がよいことも産地としてのメリットがあります

群馬県沼田市
生産者 吉野 豊

 

経営の概要

標高800mほどの圃場は昼夜の温度較差が15~20℃と大きく、高品質でおいしい高原野菜が生産できます。
私のところでは、スイートコーン3haを中心に直売所向けとしてキャベツ、ホウレンソウ、ダイコン、ハクサイ、インゲンなど多種類の野菜を生産しています。
作付面積は全体で4haほどになります。
労力は両親と私、それと私の友人の4人です。スイートコーンの栽培は今年で7年になります。

「味甘ちゃん」「味甘ちゃん80」の導入

「味甘ちゃん」は2004年に初めて栽培しました。甘みのなかにスイートコーン独特の穀物の香りが楽しめ、風味が高く、粉っぽくない、これまでにない品種だと思いました。「味甘ちゃん」に切り替えてから出荷先からは非常に高い評価を受けています。農協出荷用に他品種も作っていますが、味を比べたら問題になりません。「味甘ちゃん」は糖度が30度にもなります。
「味甘ちゃん80」は昨年、初めて作りました。「味甘ちゃん」より早生ということで、沼田市の平野部では70日で収穫ができました。さすがにここではもう少し期間がかかり90日ぐらいです。
今年は3月中旬から「味甘ちゃん80」を播種し、初出荷は7月10日前後でした。4月に入ってからは「味甘ちゃん」に切り替え、6月末まで順次播種を続けます。そして、10月の第1週まで収穫が続きます。
現在の出荷先は高崎市内のスーパーや東京の高級スーパーなどです。また、一部、大阪、神戸、鹿児島への出荷も始まりました。

あと2週間ほどで収穫になる味甘ちゃん。果房の着果位置が低く倒伏しにくい

1株1果房どりで、包葉付きで450gと重量がある 

堆肥盤では牛ふんとバークチップを5年以上熟成させている

栽培の概要

播種は1回分として1Lを用意して、200穴のセルトレイに1粒播きし、20日ほど育苗して定植します。栽植密度は、マルチ2条植えで、条間50cm、株間40cm、10a当り3,500本です。
化学肥料は極力使わないようにしていて、高度化成少々と葉面散布剤を使っています。その分、堆肥は毎年、10aに2t以上は投入しています。牛ふんとバークチップを5年以上熟成させているので、放線菌が多くなり、良好な堆肥ができています。
1株1本どりで、穂重は包葉付きで450g以上と重量があります。早朝に収穫して、10kg段ボール箱では23~25本入り、東京のスーパー向けにはハクサイ用の段ボール箱に40本入れて出荷しています。1日置きの出荷で日量100kgぐらいです。短期に集中するのではなくできるだけ長期にわたって出荷し、「味甘ちゃん」の美味しさをできるだけ多くの人に味わってもらいたいと思っています。

収穫は早朝に行う。10kg入り段ボール箱で23~25本、ハクサイ用の段ボール箱で40本入りになる

東京の高級スーパーへはハクサイ用の段ボール箱で出荷する