種苗事業部 産地と栽培情報

2015年

「ハイパーグリーンベルト」を導入して

品質良好で作業性に優れる

JA尾鈴
農産園芸部 野菜花き課
松田 光俊

農協概要

宮崎県児湯郡川南町と都農町一円を管内とするJA尾鈴は、宮崎県中央の日向灘沿いに位置します。
西にはJA名称の語源でもある尾鈴山を望み、東は黒潮が流れる太平洋を眺められる農業地帯で、昭和50年に2町が合併して誕生しました。
地形は、おおむね平坦な平野部と尾鈴山に面した山岳地帯があり、地質の大部分は火山灰土で肥沃な土地が多いです。
また、気温は年平均17.8℃と年間通じて暖かく、農業に合う自然条件から、管内では多くの農産物が生産されています。

産地概要

 JA尾鈴管内では、施設栽培、露地栽培ともに盛んで、主にミニトマトや大玉トマト、またキュウリ、イチゴ、スイートコーンなどが栽培されています。
管内においてニラの栽培面積は、ハウス、露地を合わせて約13ha、生産者数が35名で若い人も多く、ニラを栽培する新規就農者も少なくありません。

 

「ハイパーグリーンベルト」導入のねらい

昨年、ハイパーグリーンベルトを試験したところ、以下の通りの感想を持ちました。
 ●草勢が強く、栽培し易い。
 ●葉幅広く、肉厚で、軸の増加が少なく、過剰分げつになりづらい。
 ●軸の太さにバラつきが少なく、選別、結束作業時の効率が上がる。
以上の事から、本年度からは本格的な導入を始めています。

冬場の安定出荷のために

 冬場の安定出荷を実現するため、基本である株養成を重要視しています。
しかし、近年は夏期が高温で株養成が難しくなっているので、当JAでは暑さ対策として、遮光ネットやタイベックシートを利用した地温抑制の試験を行っています。
まだ試験途中ではありますが、地温を抑制させる事で、株張りなど、株の生長にも良い傾向が見受けられています。
実際に、地温が2~3℃低いデータも出ています。
初期投資費用が課題にはなりますが、現段階では効果が高いと感じているので、徐々に増やしていき、冬場の安定出荷に繋げていきたいと考えています。

「つくる~たべる」の取り組み

 ニラを生産する「つくる」側として、「たべる」側の消費者には、ニラをより美味しく食べて頂きたいと考えています。
具体的な取り組みとして部会では、皆でアイディアを出し合うニラレシピの検討会を行っています。
「簡単・美味しい」をテーマにレシピを作成し、新しい食べ方の提案、また、評価の高いレシピについては、小袋包装に印字、ホームページ上で公開、試食宣伝販売などに活用しています。

ハイパーグリーンベルトを栽培して感じた事 ~甲斐部会長~

 ニラの栽培面積は約60aで、内50aはハウス栽培になります。
労力は家族3人とパートさんが3名。
ハウスでの促成栽培がメインで、夏は雨よけ栽培、出荷はほぼ1年中行っています。
ハイパーグリーンベルトは、2年間試験的に栽培してみました。
従来使用しているワンダーグリーンベルトと比較した所、分げつが少なく、軸が細くなり難いという点と、肉厚で葉色が濃く、厳寒期での優れた伸張性に魅力を感じました。実際、ワンダーグリーンベルトとの伸張差が5㎝程度あり、ワンダーグリーンベルトの収穫適期日数よりも早く収穫することが出来ました。
一方で分げつが少ない特性上、播種量が従来品種に比べ2倍必要になってしまうため、生産者としては、コスト面での差が若干気になる所です。
今年度からは、部会で本格的に導入していますので、自分たちの産地にあった栽培を行っていきたいと思います。

〉〉プリント用ページはこちら(PDF)

関連情報