種苗事業部 産地と栽培情報

2011年

「イーハセブン」ホウレンソウの生産

ボリュームがあり、作業性の非常に良い夏まきホウレンソウ

千葉県
生産者 金子 芳夫

地域の概要

袖ヶ浦市は千葉県のほぼ中央西部に位置し、東京湾に面しており京葉工業地帯を形成し、工業の盛んな市です。財政も豊かで、浦安市、成田市に次いで県で3番目になっています。
農業は稲作を始め、レタス、トマト、サトイモ、ダイコン、ラッカセイなどの野菜生産が盛んに行われています。

千葉県袖ヶ浦市 生産者 金子 芳夫

 

ホウレンソウの周年生産

私は以前はラッカセイ、サツマイモ、ダイコンを作っていましたが、ホウレンソウの栽培になってからほぼ30年になります。周年、ハウス栽培で、間口5.4mハウスと4.5mハウスでほぼ100棟、総計1.6haになります。1ハウス年間、6回転しています。夏3回転、秋、冬、春が1回転です。主力品種は年間5~6品種で、ほとんどべと病のレース7抵抗性品種です。
労力は私と妻、パートさん7名です。息子はトマト、イチゴを栽培しています。

棟約45坪のハウスが100棟あり、周年でホウレンソウを生産している

ホウレンソウの栽培概要

栽植密度は、間口5.4mハウスでは6うね、1うね4条で、計24条。条間は15cm、株間は8cm。4条播きの播種機で1ハウス3往復、約15分で播種しています。
年間、6回転しているので土壌消毒は欠かせません。5月にクロルピクリンで1回処理し、夏期は収穫後にバスアミドを1回使用しています。堆肥は牛ふんの完熟堆肥を1ハウスに500kgほど、1年に1回投与しています。有機質が多くなるとコナダニが多発する傾向が強くなるので、必要以上に投与はしません。とくに未熟堆肥は発生を助長するので、必ず完熟したものを使うようにしています。コナダニの防除としては、双葉が出揃ったころに薬剤散布をしています。
夏場はシルバーの遮光ネットを天候をみながら被覆しています。天候のよい日では午前10時ごろから午後の4時ごろまで被覆します。年々、夏の最高気温が上昇してきて葉物の生産が難しくなってきていますが、遮光ネットの使用で安定した栽培ができています。収穫作業中も遮光ネットの被覆で快適に作業をこなすことができます。
播種は1日2~3棟ずつ行っています。夏場は収穫の終わったハウスを整地して1時間ほど潅水をしてから播種します。播種後、土壌が乾かないよう遮光ネットを被覆し、換気も控えて管理しています。3~4日で発芽してきます。
夏場は播種後34~35日で収穫になるので、1日にハウス3棟分を収穫します。パートさん達がハウス内で収穫、調製、袋詰めをし、コンテナに入れてから自宅の予冷庫に入れます。日量、1袋200gで1,500~2,000袋になります。出荷先は木更津市の青果市場で、息子が翌朝にコンテナのままで出荷しています。

夏期栽培ではシルバーの遮光ネットが欠かせない。 天候によって被覆時間を調整している

写真のようなビニールシートを使うとホウレンソウをFG袋に入れやすい

収穫は1日3棟ずつ行う。パートさん達がハウス内で収穫、調製、計量をして  FG袋に入れていく

「イーハセブン」の導入

イーハセブン」は昨年、初めて作りました。ボリュームのある相当収量の出る品種だと感じました。今年は夏期の栽培は「イーハセブン」を主力にしています。7月15日から9月の第1週まで播種を行い、50棟のハウスで生産を予定しています。
「イーハセブン」は重量が乗ってボリュームがあるほかに葉折れがない、葉の長さが揃っている、双葉と外葉が外しやすい、など収穫、調製などで作業性のよい点があげられます。私のところでは収穫、調製はパートさんが行っていますので、作業性の良し悪しは1日の出荷量に影響します。重量の乗った「イーハセブン」は3~4本で1袋ができます。たいへん作業効率のよい品種といえます。葉色の濃さもちょうどよいと思います。今年は猛暑で葉物野菜の価格が高値で推移しているところ、「イーハセブン」は安定した出荷が続いています。

収穫の終わったハウスは 整地して、次の播種に備えて1時間ほど充分潅水する

播種後3~4日で発芽する。 播種は4条播き播種機で1ハウス3往復、約15分で済む