種苗事業部 産地と栽培情報

2011年

「アニモTY-12」を栽培して

黄化葉巻病に耐病性で着果が安定し、長期栽培に向く

熊本県八代市
JAやつしろ 中央営農センター
営農部指導係
古島 孝治

地域の概要

熊本県八代地域は、八代海に向かって長方形に広がる八代平野と東 部から県南にかけての山麓地帯からなっています。平野の3分の2が干 拓によって造成され、八代市地域を球磨川がその北部地域を氷川が流 れ平野を潤しています。
気候は年平均気温16.6℃と温暖な地域で立地条件を生かし、冬トマ トでは、日本一の生産量を誇っている産地であります。

熊本県八代市 JAやつしろ 中央営農センター
営農部指導係 古島 孝治

栽培概要

JAやつしろ管内のトマト栽培面積は、224.9haで、そのなかで「アニモ TY-12」は27.8ha、12.3%を占めています。
播種は7月上旬~8月中旬で、定植は8月中旬~10月中旬です。収穫始 めは10月上旬からで、春メロンに切り替える抑制栽培では2月中旬で収穫終了、抑制長期・促成栽培では6月中旬までの収穫となります。

「 アニモ TY-12」の導入経過

八代地域では平成12年ごろに黄化葉巻病の発生が確認され、様々な対 策が行われました。しかし、完全に抑えることができない状況が続き、黄化葉巻病耐病性品種の導入が行われました。 しかしながら、頂裂果、すじ果等による可販果率の低下等で面積の拡大は進みませんでした。
その後、各種苗メーカーから新品種の発表もあり品種比較試験を実施 したところ、「アニモTY-12」が長期栽培での結果も良かったことから導 入を検討しました。

草勢、着果ともに安定している

長期栽培でも安定生産ができる

八代地域 トマト作型

「 アニモ TY-12」の現在までの栽培結果

現在までの栽培で感じたことは、着果については高温時、低温時でも 花数も比較的多く安定していたことです。玉肥大は10~11月までは小玉
傾向でしたが、年末以降になると良くなってきました。また、玉は硬い傾向 で裂果も少なく、すじ果もほとんどない状況でしたが、低温期に着果した
玉は先とがり果の発生が見られました。
草勢はやや旺盛気味で着果負担がかかっても収穫後には回復してきま した。しかし、草勢が強くなりやすいこともあり、若苗定植で元肥を多く施
した圃場、さらに八代地域では露地状態での定植がほとんどなので降雨の影響を受けた圃場では強草勢になりすぎて玉肥大が悪くなったり、着
色の遅れが見られました。
これらのことから「アニモ TY-12」は元肥量を最低限にとどめ、追肥 主体の施肥管理を行うのが良いようです。また、定植時の苗は若苗よりも
1段果房の開花前後で、定植後すぐに交配する苗の方が低段の出荷安定に繋がると思います。

1果房当たり3~4果着果

今後の展望

「アニモ TY-12」は今年度に導入ということもあり、栽培された生産者の中にも戸惑いがあり、作柄にも個人間差が大きく見られました。2年目となる来期については、今年の経験を踏まえながら栽培技術の向上を図り、生産者の安定出荷のサポートを行いたいと思います

着果数が増えると小玉かつ草勢の低下につながる

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