武蔵野交配「碧寿」の加工用安定生産
夏の高温期栽培でも病気に強く、作りやすい小カブ
埼玉県日高市
寺島農園(株)
寺島 儀巳
小カブ専業15年
寺島農園㈱は埼玉県の南西部に位置する日高市にあります。私が農業を始めた34年ほど前は、このあたりはスイカの産地でして、私のところでもスイカ、メロンを作っていました。冬作にはハウスでホウレンソウを作っていましたが、市場から小カブを作ってほしいと要望され、それから小カブ栽培が始まりました。
今は小カブ専業で、15年になります。耕作面積は10haで、労力は家族4人、パート20~21名です。農地は自宅の周辺に30ヵ所ほど点在していて、それぞれ車で5分ほどの距離にあります。パートさんたちは圃場まで車(ハイエース)で送迎しています。
収穫物はすべて加工用で、漬物業者との契約出荷になっています。
不定期の業者を含めると15軒ほどと契約しています。出荷形態は、茎葉を切り取った球だけの状態で、20kgのコンテナ詰めで出荷しています。1日の出荷量は夏場は少なく50~60ケースですが、最盛期は4tほどになります。
小カブの栽培概要
小カブ品種は、11月末から2月まで播種する冬作は「しろかもめ」「CR雪峰」、3月以降から播種する品種は「白馬」を使っています。周年、露地栽培で冬作はビニルのトンネル被覆栽培、春から秋までは防虫ネットの被覆栽培としています。
ベッド幅は145~150cmの7条植え、株間は13cm。真空播種機の1粒播きで4条と3条に播種してます。
1回の播種量は時期にもよりますが、夏期では2~3日おきに20a分を播種して、2~3日で収穫を終えるようにしています。一斉収穫で、収穫時のカブの大きさは径5~8cmです。
「碧寿」を栽培して
「白馬」は味がよく、品質のよいカブですが、猛暑が続く最近の夏期栽培では、形状が乱れたり、蒸れによって腐れが出たりするようになってきました。耐暑性のある品種が欲しいと思っていたところ、昨年、「碧寿」を紹介され、9月に入っていましたが試験栽培をしました。高温期栽培に向くといわれている品種だけに腐れもなく、暑さに強い品種だと実感しました。
今年は4月下旬から「碧寿」を播種しています。「碧寿」は病気に強く、降雨の後、晴れ間が出て蒸し暑い条件でも腐れがありません。茎もしっかりしていて、軸折れしないので作業性が非常にいいです。また、肥料には敏感なので多肥栽培にならないよう注意が必要です。10a当りの施肥量は8-8-8の40kgでも多いのではと思うくらいです。過リン酸石灰だけでもいいかなと思います。施肥についてはもう少し作り込んでいかないと確かなことはいえません。
土作りの徹底
カブの連作栽培で圃場は年2~3回転しています。そのため、土作りには特に気を使っています。太陽熱土壌消毒、ソルゴー、ムギ、ライムギの栽培、コーヒーかすを主体とした堆肥作りなどです。
コーヒーかすやウーロン茶かすは缶コーヒーの工場から年間4~10tほど入手できるので、堆肥盤にウズラの乾燥ふんといっしょに堆肥化しています。ウズラのふんは鶏ふんより窒素成分が2倍あるんです。堆肥は半年ほど寝かせ完熟したものを10a当り2tほどマニアスプレッダーで圃場に散布しています。
これからも1枚1枚の畑の土壌管理をしっかり行って、品質のよいカブを周年生産、周年出荷していきたいと思っています。
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