武蔵野交配「碧寿」「万寿」で周年生産
肌が白く、つやがあり、変形のない高品質の小カブ
埼玉県川越市
生産者 森田 定男
産地の概要
川越市は埼玉県のほぼ中央部に位置しており、都心から30km圏内にありベッドタウン化しています。この地は小江戸と呼ばれ、豊かな歴史と文化を誇り、観光地として大変人気があります。近郊農業も盛んで観光とも結びついたサツマイモを始め、サトイモ、ニンジン、ゴボウといった根菜類やホウレンソウ、コマツナ、小カブなど軟弱野菜の県内有数産地となっています。
下赤坂地区は川越市の南端に位置し、市内でも小カブの生産の多い地域です。現在でも20軒ほどのカブ専作農家がほぼ周年で生産しています。私のところでも44~45 年前から小カブを作っています。㈱武蔵野種苗園の旧三芳農場が近くありましたので、「白鷹」が発表されたころからお世話になっています。
経営の概要
小カブの作付面積は2.7haで、年2作しています。以前は夏でも小カブを作っていましたが、ここ数年は夏場の気温が異常に高く生産がしづらくなってきたことや連作障害の発生、また、東北から荷が入ってくるので、夏はエダマメを作付けしています。ちなみにエダマメは3月から7月まで播種して、6月中旬ごろから9月末まで収穫します。「栄錦」も1haほど作っています。面積が多いので莢は機械もぎです。
小カブは「碧寿」と「万寿」の2 品種を主体にしています。「碧寿」は平成22年から、「万寿」も発表された平成19年からずっと作っています。
労力は夫婦と息子の3 人とパートさん10 人です。
「碧寿」「万寿」栽培の概要
小カブの収穫は10 月から翌年の6 月中ごろまで続きます。「碧寿」の作型:秋播きは8月20日~9月16日播種。10月初旬から11月10日ごろまで収穫。春播きは3月4日~4月21日播種。5月初旬から6 月10 日ごろまで収穫。
「万寿」の作型:9月29日~翌年3月10日まで播種。12月初旬から5 月の大型連休まで収穫。
通年、露地栽培で防虫ネットを被覆したトンネル栽培です。ベッド幅は110cm、通路30cm です。冬場はベトコンと呼ばれる間口3m の大型トンネルを使用してビニル被覆をしています。ベトコンがこの地域で使われるようになって5~6年になるかと思います。それまでは冬はホウレンソウを作っていましたが、今では小カブに代わってきています。ベトコンには2本のトンネルが入ります。ベトコンの使用は11月ごろからで、厳寒期はトンネル内にべたがけ資材を浮きがけしています。
播種は季節に応じて6条から8条播き、株間も11~13cmにしています。播種機を改良して、条数を調整しているんです。また、間引きを省力したいので1粒落としです。
収穫・出荷
収穫は早朝から家族3人とパートさん2人で行い、調製、箱詰め作業などは8時30分から始めます。出荷先は浦和中央青果の所沢支店で家から車で20~30分、集荷時間は夕方の5~6時です。個人出荷なので決まった規格はありませんが、2L、3L は3 玉、L は5 玉、M、S は7 玉結束です。段ボール箱に20 束、15kg ほどで、日量120 箱ぐらいです。2L が主体なので3 玉結束が80~90 箱になります。
「碧寿」「万寿」のよい点
「碧寿」は夏の栽培でも肌が白く、つやがあり、首周りがとてもきれいです。これまで作っていた品種は首周りが黒かったので、「碧寿」は満足のいく品種です。
「万寿」は大きくなっても変形しないのが一番気に入っています。また、冬期、茎葉が強くしっかりしている点もいいです。
これからも㈱武蔵野種苗園のカブには期待しています。