種苗事業部 産地と栽培情報

2012年

武蔵野交配「春手柄」と一代交配「味甘ちゃん80」の栽培に取組んで

とう立ちせず、肌がきれいで品質のよい春ダイコンと先端不稔がなくボリュームのあるスイートコーン

千葉県旭市
生産者 小長谷 栄一

地域の概要

旭市は千葉県の北東部に位置し、東京都心から80km圏にあります。南部は九十九里浜に面し、北部は下総台地が広がっています。通年、温暖な気候で夏は涼しく、冬は暖かく、農業環境としては恵まれており、水稲をはじめ、野菜、花き、畜産など農業の盛んな地域です。
管内の農協はJAちばみどりで、平成13年に海匝地域の銚子、海上、旭、そうさ、干潟の5農協が合併してできた広域農協です。

 

経営の概要

 耕作面積は水田1.5ha、畑1.5haで、労力は両親と私の3人で、妻は勤めに出ています。私も35歳まではサラリーマンでして、農業に従事して20年ほどになります。
畑は春どりキャベツ、秋冬どりキャベツ、冬春どりダイコン、スイートコーン、ジャガイモなどを年間、組合わせて生産しています。水稲作と野菜作の作業が重ならないように段取りしていますが、天候に左右される農業は思い通りにはいかないです。

「春手柄」の栽培

 ダイコンは9月播種の露地栽培から、11~2月播種のトンネル栽培で、4~5品種を使い分けています。「春手柄」は3年前から作っています。1月10~20日の播種で4月に収穫します。トンネル+マルチで、ベッド幅135cm、条間35cmの4条播き、株間25cm。1穴1粒播きで、今年はトンネル内にパオパオをべた掛けしました。本葉4~5枚、2月下旬ころからトンネルの換気を始め、被覆ビニルは3月中旬ごろ除去しました。

「春手柄」のよいところ

● とう立ちしないので、安心してつくれる。
● ひげ根が少なく、しみがなく、肌が白く、つるつるしていてきれい。
● 根長がちょうどよく、総太りで段ボール箱に詰めやすい。
● ス入りがなく、品質が安定している。

 
 
このように「春手柄」はたいへん品質のよいダイコンだと思います。ぜひ、種子の安定供給をお願いします。また、今年は試作品種の「MSR-939」を2月下旬に播種しましたが、抽たいはなく、満足のいく成績でした。

「味甘ちゃん80」の栽培

 「味甘ちゃん80」は11月播きダイコンの収穫の終わったトンネル、マルチを利用して、その後作として栽培しています。作付面積は35~40aほどで、3月下旬から4月下旬まで3回に分けて播種しています。4条マルチの両サイドの穴を利用し、中央に新たに穴を開けて、3条播きとしています。1穴1粒播きで、株間は25cm。
マルチは草丈がひざ下ぐらいの生育途中に剥ぎ取ってしまいます。この方が収穫後よりも処理が楽にできます。ちなみに収穫後の茎葉はモアで10cmほどに裁断して、圃場にすき込みます。1回目の収穫は6月25日(3月27日播種)でした。

「味甘ちゃん80」のよいところ

● 草丈が160cmとあまり高くないので、倒伏に強い。
● 先端不稔がなくボリュームがある。
● 甘みが強く、農協出荷で評価が高い。
● 早生品種でもしなびがなく、品質が安定している。
● 発芽がよく、つくりやすい。

 
 
早生のイエロー種は何種類か作ってきましたが、満足のいく品種はなかったんです。「味甘ちゃん80」は栽培して3年になりますが、早生品種としてすばらしい品種だと思います。

土作りで輪作が可能に

 輪作体系の中で欠かせないのが土作りです。マリーゴールドを植えてダイコンのセンチュウ対策(根こぶ病も減ってくる)、ヘイオーツによる緑肥の確保などをしています。また、この周辺は畜産農家が多いので、畜産堆肥の入手には困りません。私のところは発酵鶏ふんを10a当り5tほど投入しています。
スイートコーンは土作りにもよい作物で、輪作には欠かせません。これからも土壌を健全に保ち、良品生産に取組んでいきたいと思います。

 

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