【神奈川県三浦市】病気に強く、高品質な青果物の収穫を可能にする「碧寿」(小カブ)を栽培して
株式会社ピーカーブー
代表 石井 亮 氏
地域概要
神奈川県三浦市は三浦半島最南端に位置する市です。西は相模湾、東は浦賀水道(東京湾)、南は太平洋と三方を海に囲まれており、気候は四季を通して温暖で、作物の栽培に適した地域になります。品目としてはダイコン、キャベツといった露地野菜が広く知られています。
農業が盛んな地域であるのは勿論ですが、三浦市市民マラソン等イベントを通じての農業振興、農業体験等の食育も盛んに行われています。
会社概要
元々、キャベツやダイコンといった露地野菜を中心に栽培していました。小カブの栽培は本格的に始めて6年ほどになり、2年前からダイコンと春キャベツも全て小カブに切り替えました。小カブの栽培面積は延べ8~9haになり、出荷は10月から翌年5月下旬頃まで行い、6~9月頃はトマトやスイカを栽培しています。出荷作業は現在15名前後で行っており、出荷量は多い日には1日約400ケースにもなります。出荷先としてはスーパーマーケットを主体に、地元の三浦市農協にも出荷をしています。
導入の経緯
小カブの栽培を始めた当初は各社品種を試験的に栽培し、その中でも「株揃い」や「葉の長さ」、「病気への強さ」などが優れた「碧寿」を導入しました。武蔵野種苗園の品種では他にも「白寿」等も栽培しましたが、やはり品質・特性は「碧寿」の方が優れていました。
「碧寿」以外にも「雪牡丹」を一時期栽培していました。「雪牡丹」は品質や食味に優れていますが、「碧寿」と比較すると葉が短く調整や結束に時間がかかる、出荷規格との兼ね合い等の理由から、現在は「碧寿」のみを使用しています。現在加工用の出荷はしておらず、全て青果物での出荷になります。そのため、葉の長さや形状も品種を選ぶ際の重要なポイントです。
栽培しての感想
・栽培のポイント
栽培に関しては、元気に育てることで病気にしない、「健康に育てること」を特に意識して栽培しています。そのため、土づくりからこだわり、灌水や施肥も不足しないようにするのは勿論ですが、やりすぎないことにも注意を払っています。
また、1つの圃場内でも日の当たり具合により、株の生育スピードは異なるため、株間や粂間は常に環境条件を考慮し、その圃場に適したものに調整しています。
独自の取組みやこだわり
・独自の取組み
小カブの分別、束ね、個数管理などの作業はシステムによる効率化を図り、女性や高齢者でも作業がしやすい環境を整えています。現在特例子会社と農福連携を推進し、地域にお住まいの障がい者の方も1日約10名働いています。
また、近隣の農家と提携した小カブ生産にも取り組んでいます。栽培方法を近隣の農家と共有することで品質の安定化を図り、収穫後の出荷作業はPEEKABOOが一括で行います。そうすることで、資材費や水道・電気代等の削減にも繋がり、収穫後の作業を効率化・コストを削減した上での出荷を目指しています。
さらに、作業所には直売所「SHOP PEEKABOO」が隣接しており、畑で収穫したばかりの新鮮な旬の野菜が並びます。
・今後求めるもの
種子の発芽によって、面積当たりの株数や出荷量に大きく影響するので、武蔵野種苗園には、より高品質な種子の提供をお願いしたいです。
また、夏の小カブは秋~春のものに比べると、どうしても食味で劣ります。現在夏場は小カブを栽培していませんが、既存の品種に比べて、夏場でも食味が良い品種があるとカブのイメージアップにも繋がるかなと思います。