種苗事業部 産地と栽培情報

2015年

武蔵野交配 静岡県東部地域における「若いぶき」小ネギを栽培している生産者の声

富士宮市
野沢 忠様
富士市
藤田 宏高様

6年前に「若殿」小ネギを静岡県東部地域の生産者へ取材をさせて頂きましたが、 今回は新品種の『若いぶき』の栽培状況を 生産者からお話しを伺うことができましたので、お伝えします。

地域の概要

富士宮市と富士市は静岡県の東部に位置し、世界文化遺産にも登録された富士山の麓に位置し、水資源が豊かな場所です。
富士宮市は富士のわき水によって、ワサビ栽培やニジマスの養殖が盛んに行われており、B級グルメとして話題の「富士宮やきそば」の発祥地です。
富士市ではお茶やイチゴが特産となっています。また海に面しているため、シラスなどの海産物や工業の盛んな街です。

生産者のコメント

富士宮市 野沢 忠様

野沢氏は標高300mに3haの圃場をもち、家族とパートさんの計7人で小ネギを周年栽培、冬場に一部ホウレンソウを栽培しています。小ネギの生産は45年行っており、市場からの信頼も厚い生産者です。
夏場は5日おきに5aずつ播種をして、出荷先の規格に合わせ60~70㎝規格で収穫、1束180~200gに調製し、1日1,600~2,000束を出荷しています。
野沢氏は年間、「春夏品種」、「秋冬品種」の2品種で品種を使い分けています。
若いぶきを昨年の8月に試作をしたところ、今まで栽培した他品種よりも発芽から馬力があり、ボリュームが出て、葉色が濃く仕上がりました。
以前は他社品種を使用していましたが、収穫前になると葉先枯れや葉色が淡くなりましたが、若いぶきは生育が進むにつれて、葉色が濃くなっていき、葉折れ等も無く綺麗に仕上がります。
今年は4月頃から若いぶきを播種し、9月頃まで播種を続ける予定です。若いぶきを上手に栽培するポイントは、生育初期からかん水をこまめに行うことで、葉先枯れを防ぎ、見た目の良い小ネギに仕上げることが出来ます。
今後望む品種としては、天候が不安定なことが多いため、ゲリラ豪雨や干ばつなどにも強い小ネギ品種の開発を求めます。



生産者のコメント

富士市 藤田 宏高様

 藤田氏は1.8haの圃場で、小ネギとブロッコリーを栽培しています。労働力は家族とパートさん合わせて5名、小ネギ栽培を始めて26年になります。小ネギの播種は7日おきに2Lずつ播種し、年2回転で、3~4品種を使い分けています。
出荷は50~60cmの長さで100gに調製し、FG袋で市場に出荷しています。日量1,400束前後を目安に栽培管理をしています。
若いぶきは昨年の夏に試験栽培として試しましたが、葉色が濃く、ネギ本来の香りが強く、調製しやすいとパートさんからの意見がありました。
ロッコリーを栽培しています。労働力は家族とパートさん合わせて5名、小ネギ栽培を始めて26年になります。小ネギの播種は7日おきに2Lずつ播種し、年2回転で、3~4品種を使い分けています。
出荷は50~60cmの長さで100gに調製し、FG袋で市場に出荷しています。日量1,400束前後を目安に栽培管理をしています。
若いぶきは昨年の夏に試験栽培として試しましたが、葉色が濃く、ネギ本来の香りが強く、調製しやすいとパートさんからの意見がありました。
今まで様々な試験品種を試しましたが、若いぶきはこれらの点で優れている品種だと思います。
若いぶきを上手に作るポイントとしては、『水管理』です。
他社の夏用品種は伸びがゆっくりで、後半なかなか伸びなくなってしまいますが、若いぶきは水管理で伸びをコントロールできる品種です。30cmまでしっかりと灌水すれば、後半も素直に生育し、栽培管理も容易になります。
また、若いぶきは若殿同様に種子のサイズが大きく、播種機での播種作業もムラがなく、種子を落とすことができて、発芽も順調です。
今年は雨の多い年で、品種選定が難しかったですが、若いぶきは来年も導入量を増やしていこうと思います。


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