武蔵野交配「若殿」小ネギの安定出荷
水耕栽培で年7作できる
三重県いなべ市
アイ・ティー・オー ファーム
代表 伊藤 清徳
地域と経営
いなべ市は三重県の最北端に位置し、2003年に旧員弁郡の員弁町、大安町、北勢町、藤原町が合併してできました豊かな自然、歴史、文化にあふれた地域です。
そのような環境の下、M式水耕施設30aを利用して、小ネギを中心にミニチンゲンサイ、ミツバを毎日試行錯誤して栽培、出荷しています。一部、露地栽培にて加工用キャベツを栽培し始めましたが、こちらの方は始めたばかりですので猛勉強中です。ちなみに、地域の自然の恵みである湧水を水耕栽培の水源として利用させてもらっています。
さて、主体となる小ネギですが、最近の出荷状況を確認すると年7回転ぐらい栽培しています。出荷に関しては三重県内がほとんどであり、FG規格、バラ出荷を含めて日量150㎏前後を出荷しています。労力に関しては、家人3名とパート5~6名体制で行っています。無論、繁忙期にはアルバイトを頼んで対応しています。
水耕栽培を始めた(農業自体ですが)のは21歳からで、その後21年間の歳月をかけ面積を徐々に拡大し今の規模となりました。
ありがたいことに、平成22年に中日新聞主催の第69回中日農業賞で優秀賞を受賞させていただきました。大変光栄なことで、心から嬉しく思います。この受賞のおかげで、俄然意欲がわきましたし、自信を持つことができました。
「若殿」の導入経過
以前導入していた他社品種の種子供給が安定せず、他品種を探していました。その中でいろいろな品種を比較試験栽培したところ、「若殿」が一番当農場の栽培に適しており、品質も満足できるものであったため採用としました。以前の品種より若干生育がゆっくりではありましたが、上記のように年7回転できるため問題なく栽培しています。今では一年中「若殿」を栽培し安定した出荷を行っています。
「若殿」の栽培
1ヵ所12粒ぐらい播種し(結果的には8~10本立ちになります)、育苗器にて発芽をさせます。発芽が揃ったら、養液に慣れさせる意味も含めて栽培棚で育苗を行います。1週間前後したら、スポンジをわけて定植します(写真のような状態)。目安ですが、一番生育が早い時期で定植後35日くらい、日数がかかるときでは90日ぐらいで収穫となります。これは21年間の経験からですが、ネギの顔をみて養液を入れるタイミングを考慮しています(まあ、だいたい10日前後を考慮していますが)。
例年上記のような栽培を行っていますが、今年はスリップスの被害が多く、良質な製品を仕上げるのに大変苦労しました。今後なにかしらの対策を講じる必要があります。
今後の展望
小ネギの周年栽培が確立していることと、顧客からの発注要望も多いため、多品目を少し減らして小ネギの栽培をより充実させたいと考えています。また、水耕栽培に限らず、近隣の生産者と手を組み、加工向けの品目づくりと商品開発を行っていきたいと思い、少しずつ形をつくっているところです。地域の仲間と様々なことにチャレンジすることで、地域全体を盛り上げたいと思っております。
関連情報
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