武蔵野交配「碧寿」小カブを生産して
夏期栽培で作りやすく、期待通りの品種
東京都清瀬市
生産者 小寺 正明
産地の概要
清瀬市は東京都多摩地域の東北部に位置し、埼玉県の所沢市と新座市に接しています。都心に近く交通の便に恵まれて宅地化が進んでいますが、農地も市の面積の22.3%を占め、ニンジンやホウレンソウなどを中心とした野菜栽培が盛んに行われています。
経営の概要
耕作面積は2.5haで、うちハウスは65aです。
作付け品目は小カブ、ホウレンソウ、ミズナ、ニンジン、サトイモの輪作で、露地栽培、ハウス栽培により周年生産しています。年間の作付面積は約7.5haになります。
労力は家族6人とパートさん7人の13人、平均すると10人といったところです。
小カブの品種は「白寿」「白馬」「玉里」、ホウレンソウは「イーハセブン」など5品種、ミズナは「みずみずしい菜」で、小カブはすべて㈱武蔵野種苗園の品種を使っています。
小カブは夏場の生産は休みますが、ほぼ周年生産で、「白寿」は11~4月までの収穫で、冬場はハウス栽培です。「白馬」は露地栽培で5~7月収穫で、最近ではこの季節に「碧寿」も導入しています。
「碧寿」を栽培して
小カブは「白馬」を7月中旬まで収穫した後、9月下旬からの収穫まで出荷が空きます。夏の小カブ栽培は難しく、この時期はよい品物ができにくく、消費も多くないので、小カブ生産は休んで、ホウレンソウ、ミズナを中心に栽培しています。
「碧寿」は1昨年、㈱武蔵野種苗園のセールスの方から勧められて、9月1日播きで試験栽培したところ、葉茎がおとなしく、作りやすく、思ったよりすばらしいできでした。翌年からは、5~6月播きと8~9月播きで「碧寿」を使っていますが、期待通りの品種でたいへん気に入っています。
ただ、ホウレンソウの後作では肥料が効きすぎる傾向があります。ホウレンソウは収穫時まで肥料が効いているほうがよい品物ができるので土壌に肥料が残ってしまいます。6月播きと8月播きはほぼ無肥料で栽培します。ちなみに小カブの施肥量は有機化成で10a当り40kgほどでしょうか。堆肥は牛ふんを10a当り年に約3t程度投入します。ホウレンソウと輪作をしているので根こぶ病の発生はなく、土壌病害に悩まされることはありません。
播種は2条播きのクリーンシーダーで1粒落としです。露地栽培ではベッド幅は110cmの6条播きとし、条間15cm、株間12~13cm。播種前にうね整形機で整地してから深植えにならないように播種し潅水します。種子の3倍の深さがいいといわれているように深すぎると発芽が悪くなります。播種後は防虫ネット(サンサンネット)のトンネル被覆をします。
個人出荷で品質重視
「碧寿」の収穫は早朝6時から家族で行い、洗浄、調製などの作業はパートさん達が揃う8時からスタートします。午前中に箱詰めまで終え、保冷車へ積み込みます。出荷量は日によって異なりますが、カブは日量1,000~1,500束くらい、ミズナやホウレンソウを加えて2,000束前後となります。午後はミズナ、ホウレンソウの収穫、調製作業を行います。
出荷は個人出荷です。品質を重視して常に最高のものを出荷できるように食味や形状にこだわって栽培管理を徹底して行っています。
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