種苗事業部 産地と栽培情報

2017年

標高700mで作る武蔵野交配「粋醐味」と「冬大賞」

熊本県産山村
JA阿蘇産山チンゲンサイ部会
井 正幸

連棟ハウスを用いての「粋醐味」栽培

産山村について

産山村は熊本県の最北東端で、大分県との県境に位置しています。また、九州のほぼ中央部にあたり、世界一の複式火山(カルデラ)である阿蘇山や、九重山群及び祖母山に囲まれています。また、標高は約500mから1,047mの高原型農山村で、チンゲンサイや、ホウレンソウなどの農産物が生産されています。

JA阿蘇産山チンゲンサイ部会

私も所属している、JA阿蘇産山チンゲンサイ部会は、現在11名でチンゲンサイを生産しています。作付面積は現在2.9haで大半が周年栽培をしています。昨年度の出荷実績は171,000ケースでした。
昨年まで私が部会長を務めていましたが、その際に、FG袋のパッケージを「くまモン」デザインに変更しました。FG袋も含めての、“商品の差別化”が狙いです。市場の方からも、売りやすいと好評を頂いています。勿論、チンゲンサイ自体にも、自信を持って栽培、出荷しています。部会として“高品質なチンゲンサイ”を意識しており、痛みや病気、虫による穴あきなど、品質管理は厳しくチェックしています。

 

栽培概要

うちは家族4人に、パート1人を加えた5人で作業しています。
面積は約45aで、単棟ハウスと連棟ハウスを使い分けていて、連棟ハウスには加温設備があり、12月中旬から2月までは、0.5℃以下にならない様な設定です。
出荷は4月から翌年の2月までで、年5、6回転させています。
コート種子を使い、220穴のトレイで育苗し、マルチ使用時は手植え、それ以外は全自動定植機を活用して定植しています。

品種ですが、昨年より「粋醐味」と「冬大賞」を試験導入しました。部会としての作型表(播種期)は以下の通りです。
 

「粋醐味」3/1~5/30、8/1~10/10
「冬大賞」8/25~5/20

粋醐味と冬大賞

粋醐味は、“尻”の部分が上がっていて、作業性が優れていると思います。(収穫し易い)
同時期は「春賞味」も栽培していましたが、「春賞味」に比べボリューム、葉色の濃さ共に、「粋醐味」の方が良く、私は気に入っています。
当部会では、周年栽培ではなく、9月末までの播種で終える生産者もいるため、その場合は粋醐味を出荷して終わりになります。

 

冬大賞は、ボリューム感がもう少し欲しいかなと感じましたが、色の濃さも良く興味はあります。武蔵野さんの「冬賞味」は、父の代から使用していなかった事もあり、私も使用せず他社メーカーの品種を使っていましたので、次回からは「冬大賞」も栽培していこうと思っています。


今後の展望、要望

4月25日から5月10日に播種出来る定番品種を探しています。現在使用している「夏賞味」や「夏賞味2号」は地理的に抽苔の恐れがあり、「春賞味」は白さび病の不安が残る為、品種の選定に悩んでいます。来年は「粋醐味」を試験的に播いてみようと思いますが、欲を言えば、「粋醐味」に白さび病耐病性が付加されれば嬉しいです。
また、種苗メーカーさんへの要望としては、種子の安定供給と、種子代の部分です。種子代も年間を通すと少なくはない費用になるため、品種選定のポイントにもなりえます。現状の価格から値上がりしない事をお願いしたいです。

 

震災の影響

私もそうですが、自宅が一部損傷した生産者もいます。また流通経路が閉ざされ、一週間ほど出荷が出来なくなる時期がありました。その際は一部廃耕もしましたが、みんな無事で何よりです。
最後になりますが、もし私たちのチンゲンサイをスーパーなので見掛けること事があったら是非お買い求め頂きたいです。