種苗事業部 産地と栽培情報

2011年

夏ニラ「パワフルグリーンベルト」、冬ニラ「ミラクルグリーンベルト」で高品質のニラを周年生産する

茨城県
JA美野里  にら生産部会部会長
小田部 重雄

地域の概要

茨城県小美玉市は平成18年に東茨城郡小川町、美野里町、新治郡玉里村が合併し、発足しました。東京都心から北東へ約80km、県のほぼ中央部に位置し、市内を南北に国道6号線、常磐自動車道が貫き、首都圏への交通の便に恵まれています。
市内の農業は、県の銘柄産地の指定を受けているニラ、イチゴに加え、メロンや花卉類などの産地を始め、酪農も盛んで畜産農家、野菜農家が協力しあって産地の維持発展に取組んでいます。

茨城県JA美野里  にら生産部会部会長
小田部 重雄

 

産地の概要

ニラ栽培は昭和58年から始まり、翌年、にら生産部会が設立されました。現在の部会員数は19名で、全員ニラ専業農家です。作付面積は平均1.3haで、雨よけ栽培による夏ニラ、ハウス栽培による冬ニラで周年生産を行っています。
品種は夏ニラはパワフルグリーンベルト、冬ニラは一昨年からミラクルグリーンベルトが一部使われるようになりました。
平成9年に県銘柄産地の指定をニラでは県内で初めて受け、5年ごとの更新で現在に至っています。
また、商品のブランド化で有利販売につながるよう平成17年に「美野里緑王」の名称で商標登録を取得しました。出荷されるニラのなかでも最高の等階級のものだけを厳選して「美野里緑王」としており、部会の1日の出荷量の15%を専用の出荷箱に入れ、周年で出荷されています。

 

ニラ栽培の概要

私は平成元年からニラ栽培を始めましたが、それまではネギ、ダイコンを作っていました。今はニラ専作です。ニラの作付面積は1.8haで、夏ニラは1ha、冬ニラは80a、労力は私たち夫婦と息子、研修生2人、パートさん4~5人です。ちなみに部会では後継者が6割います。
・夏ニラの作型:播種は9月中旬で露地育苗、定植は翌年の5月下旬、1年間以上株養成して、次の年の8月から10月の第1週までが収穫期間。収穫の25日前に捨刈りし、1週間から10日間、雨よけビニルを被覆してから収穫。収穫の刈取り回数は2回で終了し、株更新。5~6本で100g束ができる高品質のニラを収穫しています。10a当りの収穫量は1回目は4kg入り箱で400~500箱、2回目は300箱ぐらいです。
・冬ニラの作型:播種は3月中旬で、トンネル内育苗。6月中下旬に定植し、その年の12月下旬から収穫を開始し、翌年7月の夏ニラの収穫が始まるまで収穫し、夏ニラが終わった後の10月から12月まで収穫。計8~9回刈取りして株を更新します。
・栽植密度は条間45cm、株間25cm、1ハウス5条うねが2うね、計10条。除草剤を使用しないので、黒マルチを使用。
・堆肥はもみがらと鶏ふんを完熟させたものを毎年、10a当り3~4t、施肥は株養成期間に化成肥料60kgを3回に分けて追肥施用、収穫期間中はロング肥料を施用。

1ハウス10条植えで、条間45cm、株間25cm、通路70cm

一番採りのパワフルグリーンベルト。5~6本で1束ができるほど太みがある 

JA美野里、農産課の伊藤さん(右)と昨年から導入したミラクルグリーンベルトの品種特性を話合う

冬ニラにミラクルグリーンベルトを導入

ミラクルグリーンベルトは昨年から10aほど導入しました。今使っている品種は休眠で12~1月に収穫が不安定になりますが、休眠のないミラクルグリーンベルトは厳寒期でも使えます。葉色が濃く、A品率が高いのが気に入ってます。葉鞘部が長く、立性なので作業性がよく、パートさんには調製しやすいと好評です。水田転作の畑や水田に近い水分の多い畑では葉色の濃いミラクルグリーンベルトはとくに向いていると思われます。欲を言えば低温伸長性がもう少しあればいいです。私は12月から2月まで電照栽培をしていますので、普通では40日かかるところを30日で収穫ができます。
今後、㈱武蔵野種苗園に期待したい品種は、夏ニラではパワフルグリーンベルトと抽たい期がずれて7月から10月まで収穫できる品種、冬ニラでは葉色が濃く、分げつが少なくて休眠せず、低温伸長性に優れ食味のよい品種です。

「美野里 緑王」ニラは専用の出荷箱で出荷される

「美野里 緑王」ニラは1日の出荷量の15%を小袋詰で出荷する