一代交配『アニモTY-12』を導入して
耐病性・秀品率共に優れる
静岡県
JAしみず 三保営農生活事業所
中野孝哉
産地の概要
静岡市清水区は、平成15年に旧静岡市と旧清水市が合 併して誕生しました。静岡市清水区は、人口24万人以上、面積は265k㎡に及びます。清水区の南に位置する三保地区は、日照時間が年間を通じて長い特徴があり、温暖な気候と砂地で春先の地温上昇が早いため、古くから施設園芸が盛んに行われていました。江戸時代には徳川家にナスを献上していた記録も残っています。
産地の概要
JAしみずの農産物はお茶やみかんがメインですが、施設園芸ではトマト、イチゴ、枝豆、葉ネギ、コカブ、メロンなどが施設で栽培されています。
耐病性品種導入の経路
黄化葉巻病耐病性品種を本格的に導入したのは平成21年度からで、4 年が経過しています。
0.3~0.4mmの防虫ネットや、黄色粘着板の設置などの耕種的防除を継続的に行っていましたが、黄化葉巻病の発生により、生産量の減少を招いたことを受け、耐病性品種を導入しました。
アニモを栽培しての感想と今後の課題
●櫻田部会長
三保地区のトマト部会は、栽培面積4ha、生産者数18名、約300tを県内と京浜市場に出荷しています。
7月下旬~8月上旬にかけて定植し、9月中旬~3月末まで出荷を行います。黄化葉巻病の発生を防ぐため、生産者全員で5月と6 月に除草剤の散布を行っています。
ほとんどの生産者がトマトの後作に枝豆を栽培するため、1月下旬頃から徐々にトマト栽培を終了していき、枝豆栽培に切り替わっていきます。
平成24年度は秀品率向上の目的でアニモを導入し、十分な成果が得られました。特に裂果の発生が少なく、6~7割が上位二等級を占める可販果率となりました。
選果は手選果で行い、市場には出来るだけ着色の良い果実を出荷するように心がけています。
病気の発生を防ぐために下葉かきを行い、摘果・摘花をしっかり行うことがアニモの栽培ではポイントだと思います。
アニモの改善を要望するならば、収穫前期の小玉傾向、食味、落果、 (灰色カビ病や疫病に若干弱い点)が挙げられます。
燃料価格高騰と枝豆の販売価格が不透明なため、トマトの栽培期間を延ばす傾向になっている状況の中、3月まで安定して穫れる草勢維持と果実肥大ができるよう、栽培管理と病害虫の抑制が産地としての課題だと考えます。
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