種苗事業部 産地と栽培情報

2020年

【茨城県行方市】冬どりで抜群の収量性「菊蔵」シュンギクを栽培して

JAなめがたしおさい
なめがた地域センター
春菊部会連絡会
副会長
大川 茂衛

 

 

冬どりの収穫でスタミナがあり、収穫後半まで品質の高いシュンギクが出せました。

 

 

地域の概要 温暖て気候にも恵まれた農業地域


JAなめがたしおさいは、茨城県の東南部に位置しており、霞ケ浦・北浦・鹿島灘に挟まれ、半島状の地形となっています。行方台地・鹿島台地には肥沃な畑作地帯が、「水郷」と呼ばれる両湖岸には水田地帯が広がり、式を通じて比較的温暖で気候にも恵まれた農業地域です。対地では大規模な畑作によるサツマイモやエシャレット、キャベツなどの露地野菜、ミズナ、チンゲンサイやメロンなど施設(ハウス)を利用した品目が生産されています。また、管内東南部は平地が続き、水はけの良い肥沃な土壌を活かしたピーマンの生産が盛んで、日本一の生産量を誇ります。

 

 

産地概要 年間出荷量は500tにも上る


 

JAなめがたしおさいの春菊部会連絡会は、麻生地区、玉造地区、北浦地区を中心に300名以上の部会員がいます。

稲作と組み合わせている生産者が多く、出荷時期は生産者により異なるが、夏から始まり、冬に最盛期を迎えます。

部会全体で60ha以上で年間出荷量は500tにも上ります。

 

 

 

導入の経緯 色々な品種の試作を行った結果導入


 

元々、父親の代から家族経営で葉タバコ栽培や稲作を主体で行っていました。当時からシュンギクの栽培も行い、葉タバコの後作で片付けした圃場に種子を直接バラまいて栽培していました。シュンギク自体、発芽の良い作物ではありませんから当時はそれで問題ありませんでした。ですので、シュンギク栽培自体、30年以上前から行っていました。その後、葉タバコの廃作が進んだこともあり、両親はシュンギク栽培と稲作にシフトしていき、私自身も就農せずにサラリーマンとして会社勤めを経験しています。定年後に本格的に就農して、両親から畑を引き継いでシュンギクの栽培と稲作に力を入れています。私が本格的にシュンギク栽培に取り組み始めてからそれまで使用していた品種と比較する為に色々な品種の試作を行い、「菊蔵」が特に冬どりの収穫で非常にスタミナがあり収穫後半まで品質の高いシュンギクが出せるので正式に採用することにしました。

 

 

 

栽培の概要 様々な工夫で品質向上を図る


 

現在、私を含めて3人の仲間で31棟のハウスを共同で所有しています。その中の11棟を使用し、自宅にも露地用の圃場と苗床があります。ハウスでは圃場を回しながら主となる冬鳥、秋どりを行い、夏どりでは露地圃場を使用して年3作できるように栽培を行っています。直播の露地栽培は、抽苔の関係もあり7月どりで2回収穫を目指して行っています。秋どりのハウス栽培は8月上旬に播種して地床で育苗した苗を定植して秋どり用の収穫を行います。冬どりは9月上旬から9月末まで地床育苗で播種を行い順次定植し、11月中旬から収穫を行い、翌年の3月上旬まで行います。

ハウスは5.4m×30mが基本で1畝7条植えで3畝用意します。品質のよいシュンギクを出荷する為にアブラムシ対策として定植時にシルバーマルチを入れて害虫対策を行い、施肥設計にもこだわって特に冬どりは栽培期間が長くなるので緩効性肥料を主体として収穫収量まで追肥を行わない様にして、カルシウムなど微量要素だけの肥料も使用して品質向上を図っています。

 

 

独自のこだわり 収穫から出荷までは手作業で


 

収穫、調整、出荷までの工程は全て機械を使わずに手作業で行っています。人員は、妻と私の二人で行っています。手作業でFG袋に詰めることで、1袋1袋にしっかりと目を掛けられる点が良いところですが、同時に大変なところでもあります。現在、出荷しているJAなめがたしおさいの企画では、1箱20袋詰となっています。

 

 

今後の展望 夏場の栽培がしやすい品種を希望


 

現在、冬どりの「菊蔵」に大変満足しています。今後もより安定した収量、良い品質を目指してJAなめがたしおさい春菊部会の発展に貢献していきたいと思います。また、これは各種苗メーカーにお願いしているのですが、夏場にとう立ちしない晩抽性の品種を開発してもらいたいです。現在、夏場の栽培が難しく、収量も上がっていない状況なので是非とも期待したいところです。