【宮崎県西都市】夏のスタミナ野菜『スターライト』(オクラ)を導入して
JA西都
営農指導課 主任
黒木 俊作
出荷のピーク時期は7月中旬~8月上旬となり
日量約450kg、年間では約60tになります
地域概要
西都市は、宮崎県のほぼ中央部に位置し、日本最大級の古墳群である国の特別史跡・西都原古墳群や、日向国主伊東氏の居城都於郡城で知られています。県内で6番目の面積を持ち、市域の約7割が山岳地帯で市内を流れる一ツ瀬川、三財川、三納川の流域に宮崎平野が広がり、園芸農業、畜産業などの農林畜産業が盛んな地域となります。また、日本最大級の西都原古墳群は、昭和27年に国から特別指定を受け、その後「風土記の丘」第一号として古墳と自然が調和した歴史的景観を維持保存するために整備されました。春になると約2000本の桜と約8haの畑一面に菜の花、夏にはヒマワリ、秋にはコスモスが咲き、年間を通して多くの観光客が訪れます。
産地概要
JA西都は西都市と隣接する西米良村を管内としています。西都市は、豊かな水と土、温暖な気候に恵まれており、施設園芸ではピーマン・カラーピーマン・ニラ・キュウリ・ナス・ゴーヤー・ズッキーニなど、露地では、オクラ・スイートコーン・カンショ・千切ダイコン・里芋・キャベツ・加工用ホウレンソウなどが栽培されています。一方、西米良村では林野面積が広く、寒暖差があり、ユズ・シイタケ栽培が盛んになります。
管内でのオクラ栽培は40年前から始まり、当時畑よりも水田栽培が多く、オクラは水田転作の品目でした。
現在、JA西都のオクラの作付面積は約8haあり、生産者数は54名です。トンネル栽培がほとんどで、一部ハウス栽培・露地栽培があります。トンネル栽培の作型は、播種が2月下旬から始まり、収穫・出荷が6月上旬から9月下旬、出荷のピーク時期は7月中旬~8月上旬となり日量約450㎏、年間では約60tになります。出荷先はほとんど宮崎県内で、一部関東・関西に出荷しています。
栽培は、栽植密度が株間18㎝×条間45㎝の1畝2条が基本となります。1穴4粒前後播種とやや密植栽培の為、花の位置及び頂芽数を確認しながら追肥を行い、下葉の摘葉などを行い草勢の維持に努めています。栽培のポイントとして、水田転作畑が多いため高畝栽培し、環境にやさしい光分解性マルチ等使用しています。
導入の経緯
栽培当初は、固定種『東京五角』を主要品種として栽培していました。現在、主要品種はすべてF1品種になり、『スターライト』は15年前に導入をしました。
スターライトは早生の品種で、草勢がやや強く、栽培しやすい品種になります。青果物もイボ果・アントシアン果が少ないため品質がよく、また、収穫の山谷が少なく安定しておりどの時期も定量出荷できる品種だと感じています。
オクラの機能性
オクラは多くのビタミン類・ミネラルを含んでいます。そのため機能性食品として注目され
多くの効果があると言われています。数年前からオクラ水ブームもあり、オクラは夏野菜の代表品目になっています。
今後の課題・要望品種
ここ数年、地球温暖化の影響で、オクラ栽培も気象の影響を受けやすくなって来ています。特に開花・着果時期の低温あるいは多雨により着果が安定していません。気象変動に強く、着果の安定した収量の上がる品種、またイボ果・アントシアン果・スレ果の少ないA品率の高い品種を探しています。
今後とも㈱武蔵野種苗園から品種を始めとしていろいろ提案して頂きながら、オクラ産地としてのさらなる発展に努めていきたいと思います。