【千葉県柏市】「雪牡丹」小かぶの栽培レポート
地域概要
柏市は千葉県の北西部に位置し、面積114.74㎡、人口は約42万人の千葉県内でも中核となる都市です。
鉄道ではJR常磐線、東武鉄道アーバンパークライン、つくばエクスプレス、道路では東京・茨城方面への国道6号線や常磐自動車道、埼玉・千葉方面への国道16号線が通る交通の要衛となっています。
隣接する市は、東に我孫子市・印西市、利根川をはさんで茨城県取手市・守谷市、南に鎌ヶ谷市・白井市、西に松戸市・流山市、北に野田市となっています。
柏市は住宅地と農地の混在地域ですが、農業は非常に盛んな地域です。
利根川・江戸川沿いの低地(沖積地)には豊かな水田があり、地域の大半を占める下総台地(関東ローム層)では野菜を中心に様々な農産物を生産しています。特に小カブに関しては、生産量全国1位を誇っています。
生産者の概要(谷口 政男氏)
谷口氏は露地・ハウス併せて2.7haの圃場を持ち、小カブ専門で周年栽培をしています。小カブの生産は約45年行っており、現在は家族とパートさん合わせて5~6人で作業を行っています。出荷量は旬の時期だと日量約100ケースで、収穫した青果物は全量JAちば東葛に出荷しています。
夏場は圃場を土壌消毒に充てていますが、それ以外の時期は他社の品種と合わせ、ほぼ周年で「雪牡丹」を使用しています(厳冬期はハウス栽培)。「雪牡丹」は球肌も綺麗で球揃いも良く、品質の良い小カブが収穫できます。また、根こぶ病、白さび病にも耐病性を持っているため安心して栽培することが出来ます。
注意点としては、「雪牡丹」は球の肥大が非常に早いため他の品種と比べて1週間近く早く収穫適期を迎えます。他の品種と同じ感覚で栽培していると収穫が追い付かないまま規格外のサイズになってしまうので、種をまく量や播種日の間隔を調整すると良いと思います。
また、葉が寒さに弱い傾向があるので、他の品種より早めにトンネル栽培に切り替える、厳冬期はハウス栽培で使用するなどすると低温機でも品質の良い蕪が収穫できます。施肥量も少し多めにした方が良いように感じます。
今後の要望としては、「雪牡丹」よりも肥大が遅めの品種があると上手く使い分けが出来るので良いと思います。加えて、より病気に強い品種があると今以上に安心して栽培が出来るのでそのような品種が今後開発されることを期待しています。
生産者の概要(根元 考述氏)
根本氏は家族とパートさん含め7人で小カブの周年栽培を行っています。小カブの生産は大学を卒業したのと同時に始め、現在で約20年になります。栽培面積は10a~20a程の畑を合わせて約80aです。出荷量は日量約100ケースで収穫物は全量JAちば東葛へ出荷を行っています。
現在、冬季は武蔵野種苗園の「CR雪峰」春~秋は「碧寿」や他メーカーの品種、そして「雪牡丹」というような形で品種を使い分けています。
「雪牡丹」は球も白く首回りも綺麗で品質の良い小カブを収出来る品種だと思います。球の肥大も非常に早いですが割れは少ないのも優れている点だと思います。球揃いも良いので作業性にも優れています。
今までは種子が十分量無かったため限られた作型でしか使用できていませんでしたが今後は春~秋の作型で使用量を増やしていくことも検討しています。特に白さび病が発生しやすい時期に耐病性を持たない品種に代えて「雪牡丹」を使用することを考えています。
注意点として、厳冬期の露地栽培だと球の肥大は十分ですが葉の傷みが起きやすく、品質が低下しやすい印象があります。そのため、冬を挟むように春、秋で使用するのがよい品種だと感じます。
今後の要望としては、夏場でも割れない品種、「CR雪峰」よりも葉が立って作業性に優れた冬季品種、硫黄病に強く作りやすい品種などが開発されるとより栽培がしやすくなっていくので期待しています。