【北海道名寄市】待望のカボチャ新品種!「味浪漫」「夢浪漫」を活用した品種リレー
遠藤農場 代表
遠藤 弘
地域概要
名寄市は、北海道北部の天塩川が形成する名寄盆地のほぼ中央に位置し、天塩川と名寄川が豊かな恵みをもたらし、もち米は日本一の作付面積、アスパラガスは北海道有数の作付面積・収穫量を誇る農業を基幹産業とする都市です。気候は、日本海型で内陸部に属していることから、夏冬の寒暖の差が60度以上と大きく、5月から10月にかけては比較的高温多照で、降雨量も全道平均を下回っています。
また、東は雄武町・下川町、西は幌加内町、南は士別市、北は美深町と接し、北海道北部の中心都市として発展してきました。近年は宗谷本線に特急列車が運行し、さらに北海道縦貫自動車道が士別剣淵インターチェンジまで開通したことにより、札幌市を中心とする道央圏との時間が短縮され、観光・産業などの分野を中心に経済的な効果が表れてきています。
毎年8月上旬から下旬にかけて農業用・観賞用ひまわりが市内一円で咲き誇り、「なよろひまわりまつり」が開催され「ひまわりのまち」なよろとして観光客をお出迎えします。
「くりりん」「味浪漫」「夢浪漫」の使い分け
現在は主に「くりりん」を栽培しています。カボチャは昭和50年より作り始めましたが、その間、各種苗メーカーの有望品種も試作、栽培してきました。「くりりん」は2006年から栽培を始めましたが、高品質、高収量で市場評価も良く、また、一番の特徴である食味の良さが大変気に入りました。
ただ「くりりん」は早生品種である事から、長期貯蔵には向かず、後半の出荷に適する品種を探す必要がありました。
そこで「味浪漫」「夢浪漫」の紹介を受け、試作してみる事にしました。
2品種がまだ試作番号の頃に栽培を行ったところ、「味浪漫」は果実の肥大性が良く、「くりりん」に比べ収量が上がる中早生品種だと感じました。一方「夢浪漫」は、長期貯蔵性に優れていて、出荷後半まで貯蔵が行える特性がある事が分かりました。
以上の事から、初期の出荷を「くりりん」、中期の出荷を「味浪漫」、後期の出荷を「夢浪漫」と、3品種の特徴を活かした品種リレーが可能だと考えました。
栽培しての感想
播種時期は5月上旬、ビニルハウス内で育苗し、5月下旬から6月上旬にかけて定植します。整枝は6月下旬から7月上旬にかけて行います。その後は早めの防除を心掛け、低農薬での管理に努めています。
収穫は8月下旬から9月下旬まで行い、出荷は10月いっぱいを目途としていますが、温度管理により11月の出荷も可能な状況に至っています。
「味浪漫」「夢浪漫」は、「くりりん」と似たような栽培管理で良いため栽培が容易でした。また、2品種とも葉柄が短く風にも強い印象を受け、租pの点も好印象を持っています。
カボチャ作りへのこだわり
これまでは、果実を投げ渡してコンテナに集荷していましたが、最近はコンベアを使用し収穫を行うようにしています。
コンベアを使用する事により、果実を探してコンテナへ運ぶ手間と、投げ渡しの際の労力が軽減されました。
また、投げ渡しでの集荷作業は、果実へのダメージが多少なりともあります。その際、果実内の綿が切れただけでも、それが後々の腐敗果につながると考えています。その点も、コンベアを使うことで衝撃が少なくなり、果実へのダメージも軽減される事から、長期間の保存においても導入前より貯蔵による腐敗のロスは非常に少なくなりました。
今後の展望
近年は局所的な大雨が多く、水はけの悪い圃場では良い果実が出来ていませんでしたが、暗渠排水をし、水はけの良い圃場に改善できた事で、大きな問題も無く収穫が行えました。
今後も高品質、良食味のカボチャをつくる為に手間を惜しまず、土壌改良や、品種特性の把握など、広い視野を持ってカボチャづくりに励んでいきたいと思います。
関連情報
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