種苗事業部 産地と栽培情報

2012年

「夏賞味2号」の栽培に取組んで

ボリュームがあり、葉縁の褐変がなく、夏期の作型に向く

JA佐久浅間 軽井沢支所 経済課
小宮山 和宏

産地の概要

JA佐久浅間軽井沢支所は長野県北佐久郡軽井沢町にあります。軽井沢町は県東部に位置し標高1,000m前後と高地にあるため、年間平均気温は7.9℃という北海道並の低さです。
夏は涼しく、避暑地、別荘地としてたいへん有名で、 首都圏、中京圏から多くの観光客が訪れています。
観光地から少し外れると浅間山をバックに広大な農地が広がっています。
冷涼な気候をいかしてレタス、キャベツ、ハクサイ、チンゲンサイなどの高原野菜が生産されています。

 

チンゲンサイの栽培概要

管内でチンゲンサイが作られるようになったのは昭和50年代で、現在、作付面積は約12ha、生産者は11名です。
レタスで使用している白黒マルチを使った全面マルチによる露地栽培です。出荷期間は5月から始まり10月中旬ぐらいまで続きます。
出荷先は関西市場が中心で、4kg入りの段ボール箱出荷(L20株、2L16株)とFG袋に2株入れたコンテナ出荷があります。ともに圃場で箱詰めや袋詰め作業を行っています。
育苗は299穴のセルトレイで行い、本葉3~5枚のころ定植します。
栽植密度はうね幅(中央から中央まで)43cm、株間は13cm。レタス用の穴開きマルチは株間が27cmなので、穴と穴の中間にバーナーで穴を空けて利用しています。マルチは被覆したままで年に3~4作しています。穴の位置をずらして苗を定植し、肥料は収穫後の株元に施用します。
定植後すぐに0.8mm目合の防虫ネット(幅2.7m)を4条ごとにトンネル被覆して、コナガ、ハモグリバエ、ヨトウムシなどの害虫対策をしています。農薬を極力使用しない方針から軽井沢地区では20年ぐらい前から取組んでいて、県内では一番早かったと思われます。また、ネットの被覆によって集中豪雨に対しても被害者を受けることは少なく、出荷が左右されることはありません。

「夏賞味2号」を栽培して

「夏賞味2号」は昨年、試作をして成績がたいへんよかったことから、今年から本格的に導入して取組んでいます。播種は6月中旬から行いました。これ以上の早播きでは抽たいの危険性があるのではと思われます。


「夏賞味2号」のよい点は、

● 発芽揃いがよく、生育の揃いが非常によい。

● 収穫時、地際部の軸が太くないので切りやすい。

● 収穫物の切り口がきれいで、潤み(褐色に変色する)が出ない。

● 収穫期になっても外葉の葉縁が褐色にならないので在圃性がある。

● 葉枚数が多く、葉軸が幅広なのでボリュームがある。

 

このように「夏賞味2号」は非常によい品種なので、今後も夏期栽培で使っていきたいと思っています。なお、㈱武蔵野種苗園には、もっと早播きのできる温度に鈍感な品種の育成をお願いします。

 

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