種苗事業部 産地と栽培情報

2016年

「ハイパーグリーンベルト」を栽培して

葉色が濃く、立性で作業性の非常に良い!

茨城県水戸市
JA水戸 園芸部ニラ部
生産者 山﨑 透

試作中のハイパーグリーンベルト(左:ワンダーグリーンベルト、右:ハイパーグリーンベルト)

地域の概要

水戸市は、首都東京から約100 キロメートルの距離にあり、関東平野の北東端に位置する茨城県の県庁所在市であり、市域の北側は那珂川を隔てて、ひたちなか市、那珂市に接しており、東側は大洗町に、南側は茨城町に、西側は笠間市、城里町に接しています。
市の中央から南部にかけて広がる地域は、標高30 メートル前後で、市街地が広がる一方、畑作農業も盛んに行われています。 市街のほぼ中央には、日本三名園の一つである偕楽園や千波湖を中心とした大規模な公園・緑地が広がり、水戸市の誇る自然景観が形づくられています。

 

産地の概要

水戸園芸部会ニラ部では、現在生産者数は36名で露地栽培による夏ニラを141アール、ハウス栽培による冬ニラを240アール、合計381アールの面積を、周年栽培しています。
品種は、夏ニラはパワフルグリーンベルト、冬ニラはワンダーグリーンベルトを栽培しています。今年度より3年間の試験を行い、冬ニラ栽培に新品種の「ハイパーグリーンベルト」を正式に導入しました。
また、商品の有利販売につながるように、JA水戸オリジナルブランド化の話を進めています。

ニラ栽培の概要

JA水戸園芸部が創設されたのが45年前で、私がニラの栽培を始めたのが22年前からになりますが、それ以前は勤めに出ていました。現在は、ニラの他にハウスネギ、ニンジンも栽培しています。ニラの作付面積は50aで、夏ニラが20a、雨よけ栽培が10a、冬ニラが20a、労力は栽培管理に関しては私と息子2人で行い、出荷調整の時に妻が入って3人になります。
作型としては、春播きの露地育苗が基本で3月下旬に播種して、6月まではハウスネギの収穫が忙しいので7月上旬に定植を行います。栽植密度は条間45㎝、株間25㎝、1ハウス5条畝が2畝、計10条。堆肥はもみがらと鶏ふんを完熟させたもの、毎年1ハウスに軽トラック3台分約1t、肥料はロング肥料を元肥として施肥して、株養成中は様子を見ながら化成肥料10㎏を2回追肥として使用してます。収穫は、1ハウス一回の収穫で4㎏箱100箱ほど収穫を行い、3回で終了して秋に向けて養成を行います。
品種構成としては夏ニラはパワフルグリーンベルトで、他メーカーの品種を雨よけ栽培で、冬ニラはワンダーグリーンベルトを使用しています。



冬ニラにハイパーグリーンベルトを導入

ハイパーグリーンベルトを㈱武蔵野種苗園の営業担当から紹介してもらい試作を始めたのが3年前で、ワンダーグリーンベルトより色が濃く、低温でも伸びるということだったので期待をしていました。実際に低温期でもワンダーグリーンベルトと同じくらい伸び、一本当たりの重量も出たので、よい品種だと思いました。ただ、分げつ数が従来の品種より少ないのと、葉幅がやや狭いという欠点も見えてきました。3年間試作を行い、今年からワンダーグリーンベルトとハイパーグリーンベルトを半分づつ、冬ニラとして本格的に栽培することにしました。

今後の取組について

普段は、3本定植で栽培を行っていますが分げつが少ないことを考えて今年実験的に3本定植のハウスと4本定植のハウスを設けて収量に差が出るのかなども調べたいと考えています。また、現在JA水戸園芸部ニラ部では、農協の本店主導で市場への有利販売を目指して産地のブランド化を進めています。
最後になりますが、㈱武蔵野種苗園に期待したい品種は、冬ニラの品種を販売にしてもらったので、今度はパワフルグリーンベルトのような夏ニラの品種で、抽苔期のずれる品種を作出してもらいたいです。

 

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