種苗事業部 産地と栽培情報

2015年

「ハイパーグリーンベルト」を導入して

JAしもつけ 営農部園芸振興課
小林 隆芳

ニラ部会の概要

JAしもつけが管内とする地域は栃木県南部に位置し、東北自動車道を利用すれば首都圏から2時間という有利な立地条件に位置しております。平成11年に旧4市町の4JA(栃木市・都賀町・壬生町・大平町)が合併。その後、平成15年に2町3JA(岩舟町・藤岡町・水代)が合併し現在に至っております。
管内の主力作物は、ビール大麦をはじめイチゴ、トマト、ナス、ブドウの施設園芸を中心とした産地で、その中において管内のニラ栽培の歴史は古く、栽培が始まってから40年以上にもなり、県内JAのなかでも有数の産地です。
水田稲作に代わる作物として導入されて以来、管内では6市町でニラ栽培をされており、各6組織を平成19年8月に統合して、JAしもつけニラ部会として現在に至っております。
年間、数回の現地検討会や冬と夏の目揃会、土壌診断事後指導会や立毛共進会、反省会等を行っております。
また、「食の安心・安全」対策からGAP(農業生産工程管理)や放射性物質モニタリング検査等を積極的に実施し、安心・安全なニラの出荷に努めております。
現在、部会員144名、作付面積37.9haで、栽培品種はワンダーグリーンベルト・ミラクルグリーンベルトを中心に生産し、主に京浜市場を中心に出荷しております。特に大平町の「大平の元気ニラ」がブランド化し販売されております。

導入の経過

 ハイパーグリーンベルトは平成23年に武蔵野種苗園主催で行われた全国にら生産者山形大会で発表された際に知りました。その後営業担当から試作の依頼を受け栽培が始まりました。
ハイパーグリーンベルトはワンダーグリーンベルトの改良品種であり、管内でのワンダーグリーンベルトの作付けが最も多い事もあり、平成24年産から地元振興事務所の協力を得ながら、品種比較調査を行ってきました。
平成24年産はワンダーグリーンベルトとの比較、平成25年産では定植本数による収量の比較を行いました。

 

【平成24年産 比較試験調査結果】

 

播種日:平成23年3月28日
定植日:平成23年7月8日
  ハイパーGB:3本植え(2本分げつ苗)
  ワンダーGB:2本植え(2本分げつ苗)
保温開始:平成23年12月7日


【平成25年産】

 

播種日:平成24年3月27日
定植日:平成24年6月25日
  ハイパーGB:3本植え(2本分げつ苗)
              2,4,5本植え(2本分げつ苗、試験区のみ)
保温開始:平成24年12月7日


【JAしもつけ ニラ部会 作型表】

ハイパーグリーンベルトの評価
長所
  • 立性で葉幅広く、葉色も濃い、葉鞘部は長く、収穫・調製作業が容易。
  • ワンダーGBと比べ低温伸長性あり、回転率が上がる。
  • 収穫を続けても収量の落ち込みが少なく、葉鞘部が細くなりにくいので、調製が安易。
  • 表層剥離の発生がほとんどない。

 

短所
  • 盛夏期にやや葉先が弱く、ワンダーGBに比べ葉先が枯れやすい傾向がある。夏場の出荷には不向きな可能性がある。
  • ワンダーGBより分げつが少ない。

 

今後の取り組み

 ハイパーグリーンベルトについては、分げつ数が少ないため廃棄の量も少なくなることや、その低温伸長性を活かし他品種と組合わせることにより出荷量の少なくなる厳冬期でも安定して出荷が出来るなどの長所があるため、期待しています。
JAしもつけ ニラ部会としては、植付け本数と株間を検討し、上記作型を中心として推進して行こうと思っております。

 

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