種苗事業部 産地と栽培情報

2026年

【北海道勇払郡むかわ町】裂果に強く、硬玉の「愛夏」を栽培して

鵡川農業協同組合 営農部 
販売担当 荒木将伍 氏

地域概要


北海道・むかわ町(むかわちょう)は、北海道中央の道央圏の南東部に位置し、2006年に旧鵡川町と穂別町が合併して誕生した自然豊かなまちです。面積は約 711 km²、 細長い地形をしており、北東に日高山脈を望み、南部は太平洋に面し、全国でも屈指の清流度を誇り町名の由来ともなった一級河川鵡川が南北に縦走し、海・山・川そして平地と多彩な自然環境に恵まれています。

町内の耕地面積は水田約3,520 ha、普通畑約3,080 haと、広大な営農基盤があります。(令和6年実績)かつては水稲単作が中心でしたが、現在は稲作・畑作・施設野菜・花卉・肉牛まで多角化した複合経営が主流となっています。北海道では珍しく冬季の降雪が少なく温暖な気候により、ハウスを利用した施設野菜で通年栽培できるのが特徴です。

 

JAむかわについて


大正12年、仁立内(にたちない)(現在の二宮)に44名の組合員による「有限責任仁立内信用販売購買組合」が設立されました。これが本組合の先駆となり、昭和6年2月には全村一円とする「有限責任鵡川信用販売購買利用組合」が誕生。 その後、昭和19年2月鵡川農業会に改組され、戦後昭和23年4月20日には鵡川村農業協同組合が誕生しました。昭和27年8月旭岡農協解散による本組合への加入を経て、地域農協として今日に至っています。トマト部会は昭和55年に4名で設立されました。現在の部会員は52名で栽培面積は22haとなっております。

 

栽培概要


・播種時期

播種については生産者のほとんどが当JAの運営している共同育苗を利用しており、時期は4月上旬~下旬、5月上旬の4回に分けて播種を行っています。共同育苗では播種から3週間程育苗してから生産者へ引き渡しをしており、その後の鉢上げからは生産者が管理作業を行っています。

 

・定植時期・株間

定植時期については当産地では1番早い4月上旬播種は5月下旬に定植作業を行い、最後6月下旬まで定植作業は行われています。定植本数は1棟(100坪ハウス)あたり750本で、株間は40cmが当産地で主流となっています。

 

・収穫時期・出荷形態

収穫時期については7月中旬ごろから徐々に始まっていき、毎年7月20日前後より共同選果を開始しています。8月中旬にピークを迎え、11月中旬まで出荷されており、出荷形態については市場流通の割合がほとんどを占めており、関東の市場をメインとし、関西や道内にも販売を行っております。

 

「愛夏」導入の経緯


ここ数年で夏場の栽培期間中の温度上昇が著しく、これに伴い果実の割れ・着色不良(ベースグリーン・黄変果などの生理障害)が急増して秀品率低下が問題となっていました。加えて軟化玉発生による輸送事故なども多くなり果実品質の改善が部会の急務となっていたところ、耐裂果性に優れ硬玉で着色不良の少ないとされた【愛夏:当時はMST-1323】を令和6年に役員2名にて試験栽培したところ、上記の問題に改善が見られたことから翌年の令和7年に栽培を希望された生産者10名にて栽培を開始しています。愛夏トマト 着果画像

 

「愛夏」を栽培して


特筆すべき点は果型の乱れが少なく腰高で丸玉の綺麗な果実が収穫できることです。

これまで主な問題であった裂果について大幅な改善が見られ、「愛夏」については栽培期間を通じて極少量の発生に留まっており、さらに着色不良についてもほとんど発生が見られないことから既存品種に比較して秀品率は大きく改善できると考えています。また秋口以降も比較的着果や肥大が良好で割れも少ないことから全体的な収量増に貢献できると思われました。一方で栽培面では既存品種より中段での樹勢維持がやや難しくもあり追肥や潅水等では「愛夏」特有な栽培管理が必要と考えています。

今後求めるもの


近年、北海道でも夏場の高温でハウス作物の収量が減少してしまっております。特にトマトについて花飛びや着果不良が目立ち大幅に収量を落としています。硬玉で裂果しにくい「愛夏」は魅力的な品種ですが、究極をいえば高温でも花飛びせずにしっかり着果する品種が出ることを望んでいます。当産地のトマト生産は高齢化などもあり年々減少傾向にあります。その中で現在も栽培をしてくれている生産者、ハウスの棟数を増やしてくれた生産者、皆さんに1玉でも多く収穫してもらい生活が潤ってほしいと思っております。生産者の収穫、管理作業や我々JAの販売とともに品種選定も重要となってきます。是非、前述したような品種に近いような品種の開発をお願いしたいと思っております。