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農薬に関するご注意
●葉色が濃く、草姿立性で調製作業がしやすいコマツナ●

佐賀県 農業試験研究センター 三瀬分場
清水 愛
生育途中の「緑富美」の様子
1.はじめに  
 佐賀県の北部に位置する中山間地帯は標高300〜600mであり、年平均気温が約13℃と平坦地に比べ3℃低く(図1)、この気温差を利用した夏秋期の野菜栽培が盛んである。コマツナのNFT栽培は周年生産による収入の安定を図ることを目的に、昭和50年代半ばに導入された。
 現在、6戸の農家で約50a作付けされているが、品種は導入当初から変わっておらず、また高温・低日照下における品質の低下や収量 の低下等問題も多い。
 そこで、当分場においては平成9年度から「中山間地における葉菜類の養液栽培技術の確立」に関する研究を開始し、その中で作型別 適品種等について検討を行ったので、概要を紹介する。

■図1.佐賀県農業試験研究センター三瀬分場(標高400mの気象データ)

2. 現地における栽培の概要  
 NFTによるコマツナ栽培は、1/80〜1/100の勾配をつけた栽培ベンチの上に、発泡スチロールの定植板を置き、ウレタンマットで育苗した苗を定植し、培養液を流す方法で行われる。育苗には5〜10日を要する。
 NFTは薄膜水耕とも言われ、養液は養液タンクからポンプで常に流され、基本的には廃液を出さない。しかし、栽培を重ねると生育が悪くなることがあり、その場合はタンクごと養液を入れ替えることもある。養液の肥料は二液方式をとり、ECコントローラにより設定濃度でハウス用液肥を自動的に混入している。
 栽培農家は収穫能力や部会による出荷目標量により、1作の栽培面積を決め、季節による生育スピードを考慮しながら周年生産を行っている。
3. 三瀬分場における作型別品種比較試験の概要  
 現地における作付け品種は、当初より部会による統一が行われ、長い間1品種「GD」のみであった。しかし、近年は多くの新しい品種も出ており、周年生産を行うにはそれぞれの時期に適応した品種選定を行い、時期別 の適品種を栽培した方が有利と考えられる。そこで、当分場では平成9年の試験開始から品種選定を行ってきた。品種選定の基準としては、現地で導入されている品種「GD」を対照とし、まず第一に葉色が濃いこと、次いで調製しやすい草姿、収量 性等をポイントとした。
 平成10〜11年に有望と思われるいくつかの品種を選定した。主な試験品種の成績は、表1のとおりである。
 生育日数は季節によりかなり違い、夏場は23〜25日、冬場は約60日を要する。
 品種比較試験の結果、「緑富美」は、対照品種と比較して生育が早く、葉色が濃く、草姿が優れており、中山間地のNFT栽培における適用品種として優れた形質を示した。
 今回選定した「緑富美」は、葉面が滑らかであり、葉巻等も少なく、草姿は立性で調製もしやすい。また、調製重で劣る場合でも、生育期間が短く、周年生産を行う中では施設の利用効率が高くなると考えられる。現在これらの結果 を受け、現地での普及が図られている。
生育途中の「緑富美」の様子
収穫後の「緑富美」。草姿が立性で調整しやすい。
4. おわりに  
 九州におけるコマツナの消費は、ホウレンソウと比べまだ馴染みがなく、その中でも特に養液栽培のコマツナは市場入荷量 が少ない。また、最近は土耕栽培のコマツナも増えつつあり、価格は低迷することが多くなっている。このような中で養液栽培が生き残っていくためには、より高品質なものを周年にわたり生産していくことが必要である。
 現在は、現地において梅雨から夏場にかけてコマツナの店持ちが低下する等の問題が発生しており、それを解決するための技術開発に取り組んでいるところである。今後は食味性向上等の高付加価値化を目指した新しい試みにも取り組んでいきたいと考えている。
←表1 播種時期別コマツナの生育、品質調査(1999)

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